ごっとさんのブログ

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「皮膚」の刺激だけで「内臓の動き」が変化する

2023-09-23 10:32:57 | 健康・医療
私は若いころ何となく身体の調子が悪くなり、「自律神経失調症」と診断されました。薬を飲むとすぐに良くなったのですが、その後しばらくはこの薬が常備薬となっていました。

最近交感神経と副交感神経以外の「第三の自律神経」も見つかっているようです。ここでは自律神経についての解説を紹介します。

まずは東京都老人総合研究所のマウスを使った交感神経の電気活動を見た実験です。麻酔したネズミの腹部の皮膚をブラシでさすったり、ピンセットでつまんだりすると、胃の働きが一時的に抑えられます。

この時胃に行く交感神経の電気活動を見ると、活発になっていきます。一方胃に行く副交感神経の電気活動に変化は認められません。つまり腹部の皮膚の刺激で胃の働きが抑えられるのは、交感神経の働きによると考えられるわけです。

つぎにこの麻酔したネズミの前足や後足の皮膚を刺激すると、今度は胃の働きが活発になります。この時は胃の交換神経活動は変化せず、胃の副交感神経が活発になっていきます。

このように実際に内蔵の働きとその時の自律神経の電気活動の両方を見れば、内臓の機能と自律神経の関係が分かります。この実験では皮膚圧反射のように皮膚への刺激という事が、無意識のうちに内臓の働きを変えてしまっているのです。

このように腹部の皮膚刺激だと胃の働きが抑えられ、手足の刺激だと胃の働きが活発になります。これは反射中枢が異なるために起きている現象で、腹部の皮膚刺激による胃の反射の反射中枢は「脊髄」で手足の皮膚刺激による反射の反射中枢は「脳幹」であることが分かりました。

この脳を介さない反射は「分節性反射」とよばれ、反射中枢が脳幹にある場合は「全身性反射」と呼ばれています。両者とも「反射」ですので、基本的には意識に上ることはありません。こういったことを利用したものが東洋医学の鍼治療となります。

鍼をどこに打つかで効果は違い、どこがより効果があるかは内臓によって異なりますが、実際には分節性反射と全身性反射が複雑に絡み合っているようです。

マッサージによって血流が改善されたり、鍼や灸、指圧などの治療を受けることで内臓の症状が改善されますが、こうした効果の基本にあるのが体性‐自律神経反射というメカニズムです。

ここでは自律神経の解説というより、東洋医学の効果の謎の説明になってしまいましたが、こういったことはかなり進んでいるようです。

なんとなく鍼や灸には不信感がありましたが、かなりしっかりした科学的根拠があるといえそうです。