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変形性膝関節症の発症のメカニズム

2024-12-14 10:32:47 | 健康・医療
歳をとると膝関節が痛む人が多いようです。知人の女性ももう10年以上前から痛み出し、根本的な治療としては人工関節にするしかないといっていました。

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、痛みや腫れ曲げ伸ばしの制限、膝の変形が起こる病気です。東京大学の大規模疫学調査では40代以降加齢とともに増加しています。

変形性膝関節症は必ずしも高齢者の病気ではなく、女性では40歳代でも1割、50歳代で3割が該当するという結果が出ています。変形性膝関節症はこれまで軟骨の摩耗が最初に起こると考えられてきました。

しかしその前に軟骨以外の組織が損傷し、結果として軟骨の摩耗を引き起こすことを示す結果が研究で得られるようになっています。この病気のメカニズムが従来のものと異なることが分ってきたのは、欧米を中心にメカニズムを正確に解析しようとする動きが出てきたからです。

変形性膝関節症の診断は、長らくX線で行われてきました。しかしX線には軟骨成分が映りません。そのため早期の変形性膝関節症の評価が正しくされてきませんでした。

近年軟骨成分も映るMRIの画像診断、またバイオマーカーを用いた研究や疫学研究によって、軟骨摩耗、半月板変性、骨棘、滑膜炎など関節構造の変化の過程が明らかになったのです。

MRIを用いて早期の変形性膝関節症患者を調べた研究では、痛みの程度が小さい段階から半月板のすぐ下に骨棘ができることが判明しました。それにより半月板が本来あるべき位置から押し出されて内側に移動する「内側半月板逸脱」が生じ、変形性膝関節症に至るのではないかとみられています。

別の研究では、X線で変形性膝関節症が診断されていなくても、中高年では内側半月板逸脱が多いことが報告されています。つまりX線で診断される前、または膝の痛みが出てくる前から変形性膝関節症に至る因子をかかえている可能性があります。

このまま膝関節に負担がかかる生活を続けていると、5年後、10年後にはいまできている動きが困難になる恐れがあるようです。変形性膝関節症の危険因子として、肥満が挙げられます。

肥満が膝関節に負担を与えている可能性に加え、肥満による糖尿病や脂質異常症などの代謝異常で、持続的に慢性炎症が起き、これが関節軟骨の変性を招きます。正座やしゃがみ込む姿勢は膝へ与える負担が大きくなります。

これらの姿勢からの立ち上がりの際には、ひねりながら立ち上がらない等十分注意が必要としています。こうした変形性膝関節症の予防のための運動など色々考えられているようですが、まずは肥満にならないようにするのが大切なのかもしれません。