ごっとさんのブログ

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ガン以外の患者の死はおざなりになる

2024-12-19 10:34:06 | 健康・医療
人は必ず死ぬのですが、どう死ねば良いのかは難しい問題といえます。私はこの歳(77歳)になっていますので老衰でぽっくりが理想ですが、何か病気が見つかってもあまり治療を受けないつもりです。

ところが現状では、穏やかに死ねそうな緩和ケアなどにガン患者以外は入れないという問題があるようです。たとえば腎不全になっても透析を拒否した患者は、受け入れるところがなく胸水で苦しみながら死んでいくという例が記載されていました。

近年治療のプロセスにおいて行き過ぎた治療者主導を是正し、透析を導入しないことも患者の権利とする傾向が強まっているようです。これに対して医療者の倫理観の発露という観点も重要です。患者の自己決定権は、十分な情報提供のうえにあるべきものです。

尊厳死は軽々しく患者に委ねていいものではないでしょう。ことに透析に対する偏見で、透析導入に拒否感が強い患者には正確な情報が伝わりにくいそうです。医療倫理に基づく医師の主導も場合によっては許されるべきかもしれません。

慢性腎不全は本来透析を行わなくても治療を要する病気で、進行を穏やかにし日々の苦痛を和らげる治療法はあります。現実は透析を導入しない患者の多くは、医療から見放されてしまいます。

なぜ透析患者(腎不全患者)には十分な緩和ケアの体制が取られないのか、その理由のひとつに診療報酬の問題があります。緩和ケアの保険適用の対象が、ガン患者(およびAIDS患者、重度の心不全)に限定されているからです。

かつて日本の緩和ケアは諸外国に比べて大きく後れを取っていました。限られた医療資源はまず、国民の2人に1人が罹るといわれた国民病・ガンに投入されました。

2006年ガン対策基本法が成立し、ガンによる死亡者の減少に加えて、全てのガン患者およびその家族の苦痛の軽減並びに医療生活の質の維持向上という項目が追加されました。

家族も第二の患者としてケアの対象とし、ホスピスの整備、緩和ケアチームの設置、専門医の育成、グリーフケアまで一貫した体制が整えられました。

さらに診療報酬改定のたびに加点がなされ、2010年にはガン患者カウンセリング料を新設し、外来で治療を始める前の相談の段階から診療報酬が支払われるという手厚い体制が取られました。

近年ではガンと診断されたときから緩和ケアを取り込んでいく方針も広がり、ガン患者に対する緩和ケアは年々充実が図られています。以上のようにガンに特化した緩和ケアの問題があるだけではなく、2040年問題というのもあるようです。

やはり最後はガンになって、緩和ケアを受けながら穏やかに死んでいくのが良いのかもしれません。