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試験管で作られた脳から脳波が検出

2021-03-20 10:25:13 | その他
生命の根幹は「脳」であるという考え方が浸透しつつあるようです。

「生きている」とはどういうことかという問いに、息をしているや心臓が動いているから、脳が活動しているが主流になるのかもしれません。

アメリカの研究グループが、死後4時間で取り出したブタの脳に特殊な装置を用いて代用血液を送り込むことで、一部の脳機能を回復させることに成功したと発表しています。この研究結果は、心臓が止まった後も脳は生き続けているかもしれないということを示唆しています。

動物の死は、呼吸が止まってしまうことと定義されてきました。医学の技術が発展することで、電気ショックや薬剤を用いて、一度停止してしまった呼吸や心臓の働きを甦生することが可能になりました。

これにより動物の不可逆的な「死=心臓の停止」という常識は、徐々に変化してきています。人間にとって本当の意味での死は、脳の死ではないかという議論が起こり、現在でも賛否両論があります。

脳が活動しているときには、微弱な電流が発生します。したがって電気的な活動がみられると「脳が活動している=脳が生きている」とも捉えられます。脳の神経細胞の集合的な電気活動は、脳波として知られています。

脳波を測ることで、脳や体がどういう状態にあるかをある程度知ることができます。アメリカの研究グループが、2018年に試験管の中で人工的な脳を作り、その脳から「発達中の胎児に似た脳波」を記録したと発表しました。

組織的な脳活動が観測されたということは、単なる細胞の寄せ集めではなく、「働き」を持った脳組織を作り出すことができたということを意味します。

一方コンピュータの進歩も目覚ましく、正確で速い演算ができるようになっており、人工知能(AI)と呼ばれています。この人工知能は「脳」になれるのでしょうか。色々な観点から脳とコンピュータは類似しており、回路とニューラルネットワークが比較されたりしています。

詳細は省略しますが、コンピュータ上で脳が再現されるという研究もあります。こういった点も含めて「脳が生きていること」の定義を改めて問うような事例といえます。

脳の中で電気的活動を行っている脳細胞をニューロンと呼んでいます。これまで脳の研究ではニューロンの活動を知ることで、脳の働きを解き明かせると信じられてきました。ところがニューロン以外の脳が、脳の大切な働きを司っている可能性があるようです。

結局「生きている」という定義は、脳に電気的活動があるだけでは不十分なようです。生命の神秘という科学的でないことが入る余地があるほど、まだ生きていることの定義は難しいのかもしれません。


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