脳の異常を見つける検査法

「脳の検査」というとＣＴやＭＲＩだと思っていますが、脳の形を見ることはできますが、脳が実際に活動している様子を見るには不十分のようです。

脳が活動するときは電気が発生しますが、この電気を頭の皮膚上で検出するのが脳波検査です。痙攣などが生じるような異常な電気活動はないか、意識障害の時は脳がどのような活動をしているかなどを調べていきます。

脳波を記録するために頭に22個、両手に1個ずつ電極を付けていきます。電極をすべて付け終わったら、部屋を暗くして脳波を記録していきます（10〜30分）。

検査にはＡＢＩ検査とｂａＰＷＶ検査があり、手と足の血圧を比較し脳波の伝わり方を調べて、動脈硬化による血管の老化などの割合や早期血管障害を血管の状態として数値化するものです。

加齢や生活習慣病の進行とともに動脈硬化が進むと、心筋梗塞や脳卒中などの生命予後に大きな影響を及ぼす疾病を引き起こす可能性が高くなります。動脈硬化を引き起こす危険因子として、脂質の異常、喫煙、糖尿病、肥満、高血圧などが挙げられます。

動脈硬化の進行を放置すると、例えば心臓に酸素や栄養を供給している冠動脈に起きれば、狭心症や心筋梗塞、脳の血管がもろくなれば脳出血、詰まれば脳梗塞、足の動脈に起これば下肢の壊死につながる可能性があります。

血圧と脳波を同時に測定することにより、足の血管のつまり（ＡＢＩ）や血管の硬さ（ｂａＰＷＶ）を知ることができます。ＡＢＩ検査（足関節上腕血圧比）は足首と上腕の血圧を測定し、その比率（足首収縮期血圧／上腕収縮期血圧）を計算します。

動脈の内膜にコレステロールを主成分とする脂質が沈着して内膜が厚くなり、粥状硬化ができて血管の内腔が狭くなる「アテローム動脈硬化」の進行程度、血管の狭窄や閉塞などが推定できます。

動脈硬化が進んでいない場合、横になった状態で両腕と両足の血圧を測ると足首の方がやや高い値を示します。動脈に狭窄や閉塞があると足首の方の血圧は低下します。

動脈の狭窄や閉塞は下肢の動脈に起きることが多いとされるため、上腕と足首の血圧の比によって狭窄や閉塞の程度を数値化できます。ｂａＰｗｖ検査（上腕－足首間脈波伝播速度）は、心臓の拍動（脈波）が動脈を通じて手や足にまで届く速度を測定します。

動脈壁が厚くなったり固くなったりすると動脈壁の弾力性がなくなり、脈波が伝わる速度が速くなります。腕と足の4カ所のセンサー間の距離と脈波の到達所要時間を計測し、計算式に当てはめ動脈硬化の進行を測定します。

こういった検査は受診者の負担の少ない検査ですが、あまり実施している機関は多くないようです。動脈硬化の進行具合などを知ったとしても、効果的な治療法は少ないようですが、チャンスがあったら受けてみたい気もします。