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ノーベル化学賞にゲノム編集

2020-10-09 10:24:22 | 時事
今年度のノーベル化学賞が、ドイツのマックスプランク研究所とカリフォルニア大学の女性研究者2氏に授与されると発表されました。

対象の業績は生物のゲノムを効率よく改変する「ゲノム編集」技術の開発です。このゲノム編集はノーベル賞の候補になっているだろうとは思っていましたが、主に医学関係での応用が盛んでしたので、医学生理学賞に該当しそうでした。

実際には植物への応用で新しい品種の開発などにも応用されている技術ですので、化学賞でもよいのかもしれません。私はこのゲノム編集という技術が、どういうものかがあまりはっきりと分かっていませんでした。

遺伝子に関してはいろいろ勉強していますが、私の専門ではないので、基本的な部分が理解できていないのかもしれません。ノーベル化学賞受賞ということで改めて調べなおしましたが、あまりスッキリとした説明はできていません。

基本的には遺伝子の任意の部分を切断して機能を失わせたり、そこに新しい遺伝子を導入して改変するというものです。

私が現役であったころ黎明期を迎えた、当時は遺伝子工学といっていた技術とどこが違うのかが難しいところです。遺伝子工学が一つの学問分野として発展したのは、特定のDNAを切断する「制限酵素」という一種のヌクレアーゼが開発されたことです。

これはDNA配列のある特定の部位(7〜10塩基程度)を認識して、そこを切断するというもので、これによって初めてDNAの目的とする部位を切ったり、新たなDNAを挿入したりできるようになりました。

これで遺伝子を改変したりして、生物を変異させることが可能となったわけです。この制限酵素はその後非常に多くの種類が開発され、目的とする変異に最もふさわしいものを選択することができるようになりました。

その後PCR(これは新型コロナの検出法として一躍有名になりました)という特定な遺伝子を増幅させる技術など、遺伝子関連の技術が進展し、遺伝子工学という名前も消えてしまう程一般的な技法となってきました。

しかし切断部位が制限酵素によって決まってしまうという点で、かなり煩雑な操作が必要だったようです。

そこで微生物の複製からヒントを得たクリスパーというDNAに相補的なRNAと、鋏にあたるキャスという切断酵素の組み合わせが開発され、今回の受賞者から2012年に発表されました。

このクリスパーを使うことで、自分が切断したい部分を任意に選択することが出来る様になり、操作性が大幅に改善されたようです。また生物は遺伝子が切断されると、すぐに修復する機能がありますが、ゲノム編集ではこういった現象もうまく利用しています。

これによって応用範囲が格段に広がり、医学研究から植物の品種改良などにも利用されています。

以上あまりうまく説明できてはいませんが、遺伝子操作が難しい技術から、誰でも使える易しい操作に転換した大きな業績といえるようです。


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