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慢性腎臓病にSGLT2阻害薬が承認

2022-02-10 10:25:27 | 
腎臓病というと家ではネコが歳をとると発症してしまう病気という認識が強くなっています。

昨年亡くなったコブンも15歳で発症し、腎性網膜症から失明してしまいましたが、皮下点滴をしたりそれでも頑張っていました。

さてヒトの慢性腎臓病(CKD)の治療薬として、初めてSGLT2阻害薬である「フォシーガ」が承認されました。SGLT2阻害薬は2014年に2型糖尿病の治療薬として発売され、一部は2019年に1型糖尿病の治療薬としても承認されています。

SGLT2阻害薬は糖の排泄を促進するとともに、尿中への水分と糖の排泄を促進し、降圧薬ではないのですが血圧を低下させる作用も報告されています。

SGLT2阻害薬には腎臓で尿をろ過する糸球体の内圧を低下させ、腎臓の負担を軽減する働きがあり、今後は心不全や腎不全への適応が広がると考えられます。今回のフォシーガの承認で、2型糖尿病を合併しているかどうかに関係なく、成人のCKDに使えるようになりました。

CKDは慢性の腎臓病すべてを指し、尿や血液、腹部超音波やCTなどの検査で腎臓に異常が見られ、腎臓の働きが60%以下に低下あるいはタンパク尿が出るといった状態が3か月以上続いている場合にCKDと診断されます。

糖尿病や高血圧などでCKDは発症して悪化しやすくなり、高血圧があると腎機能を低下させCKDを悪化させるという悪循環をたどります。CKDは早期に発見され治療は開始されれば元の状態に回復することもありますが、早期では自覚症状がありません。

夜間尿、むくみ、貧血、倦怠感、息切れなどの症状が出てきたときには、CKDがかなり進行している場合が多いといわれています。CKDが進行して腎臓が本来の機能を十分果たせない腎不全に至ると、体内から老廃物を除去できなくなるため人工透析や腎臓移植が必要になります。

今回承認されたフォシーガはCKDの日本で初めての薬ですが、これまで腎臓の機能に直接働きかけてよくするものはありませんでした。血糖値や血圧を下げ、腎臓の機能が低下していくスピードを落とすだけで、薬を用いてもCKDを「治す」ことはできませんでした。

フォシーガの第3相試験では、腎臓の機能がステージ2〜4で尿中アルブミン排せつの増加を認める患者を対象に行われました。

これまでCKDの第1選択薬として使われてきたACE-1もしくはARBという薬剤とフォシーガを併用すると、プラセボと比較して腎機能の悪化や末期腎不全への進行などの発生リスクが39%低下させるという結果が出ています。

このように今まで実質的な治療薬がなかった慢性腎臓病に、やっと治療効果のある薬が出てきて腎臓病専門医からも画期的な薬と捉えているようです。これで増え続けている透析患者などが少しは減らせる可能性も出てきたといえそうです。


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