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沈黙の臓器である「腎臓」と老化加速物質「リン」

2022-05-28 10:32:12 | 健康・医療
最近では健康に良いとされる物質やサプリメントなどが大いに宣伝されていますし、健康に悪影響を及ぼす物質なども取り上げられています。

私は通常の食事をしていれば、不足したり過剰になったりすることはないというのが持論です。新しい説として「リン」が老化加速物質であるという記事を見かけました。

この著者は「体内の環境を常に一定に保つ力」が健康に大切としていますが、私もこの恒常性維持機構が重要と考えています。体内への出し入れを精密にコントロールしている臓器が「腎臓」であり、不要なものを排泄する腎臓の力が衰えてしまうと、健康が損なわれ老化が加速します。

ここで過剰に摂ると良くないものとしては、塩分や糖分、脂肪分などが挙げられますが、もう一つ重要なものが「リン」としています。リンは生命に必要な6大元素(酸素、窒素、炭素、水素、硫黄、リン)のひとつで、カルシウムと共に骨を形成している成分です。

またDNAや細胞膜の主成分でもあり、ヒトが身体を維持していくうえで絶対欠かせない重要な物質といえます。リンは無味無臭のため加工食品やファストフード、スナック菓子などを多く食べていると気づかずに大量に摂取してしまいがちになるようです。

リンを摂りすぎると次第に腎臓の機能が低下して、血管や細胞がダメージを受けるようになります。この辺りのメカニズムには「クロトー遺伝子」が関わっており、これは体内の余分なリンを腎臓から尿中に排泄するのに必要な遺伝子です。

この遺伝子がないまたは働きが弱いマウスは、老化が加速しますがリンの少ないエサで飼育したところ一連の老化症状は治まりました。

腎臓は尿を作るだけの臓器ではなく、血液をろ過しながら必要なものを再吸収し、不要なものは尿中に排出して体内環境を一定に保つ働きをしています。つまり腎臓は血液をきれいにする「ろ過装置」といえます。

腎機能の詳細は省略しますが、ヒトにも身体にリンが溜まってしまう病気があり、それが「慢性腎臓病(CKD)」です。慢性腎臓病で血中のリン濃度が高い場合、リン酸カルシウムはタンパク質と結合したコロイド粒子のかたち(CPP)となって血中を移動するようになります。

このCPPが身体に数々の健康被害をもたらすとしています。例えばCPPは細胞にとって異物であり、排除しようと免疫システムが作動し、炎症反応が起こり「非感染性慢性炎症」の原因となります。

その他腎臓のネフロンの破壊などが挙げられていますが、このようにリンが老化加速物質であるというのは初めて聞いた理論です。

この仮説は納得性があるように感じますが、身体に必要な物質は厳密にコントロールされているというメカニズムには反しているような気がします。

今後この「リン悪者説」がどう発展するかわかりませんが、一つの仮説で終わりそうな気もします。


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