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歳をとるほど脳が活性化する

2020-12-30 10:21:03 | 自然
年を取れば物覚えが悪くなり、頭の働きが鈍くなるのは仕方がないという既成概念を覆し、ヒトの脳には加齢に抗する底力があることが近年の脳研究で明らかになってきました。

脳は高齢になっても可塑性(自分とその周辺の状況に応じて変化する能力)を維持し、誰もが加齢に従って認知力の低下を体験するとは限らず、中年以後に高まる能力もあるようです。

研究者に加齢と脳の関係を再考させるきっかけとなったのは、約5000人を対象に加齢による脳のさまざまな変化を半世紀以上も追跡調査してきたワシントン大学の「シアトル縦断研究」です。

認知力を測る6種のテスト中4種で、高齢者の成績は20代よりもよくなりました。記憶力と認知のスピードには加齢に伴う低下がみられましたが、言語力、空間推論力、単純計算力と抽象推論力は向上していました。

この研究は加齢による記憶力の低下は個人差が大きいことも明らかにしました。fMRIやSPECT(シンチグラフィー)といった造影診断法を利用しての研究も進み、脳は加齢に対抗するメカニズムがあることも証明されました。

トロント大学によれば、高齢者はひとつの作業の達成に向けて、若年層が使わない脳の部位も活性化させているようです。

例えば記憶処理を主に担う側頭葉内側部が加齢により不活性化するに従い、高齢者は前頭前皮質背側側部も記憶処理に動員し、注意力といった認知機能の増強に前頭葉と頭頂葉の両方を活用しています。

高齢者は若年層より物の見方が前向きになることも、南カリフォルニア大学の研究者が証明しています。高齢になると情動反応を司る偏桃体がネガティブな刺激に反応しにくくなるようです。

また40歳を過ぎたころからネガティブな記憶よりポジティブな記憶の方が増え、その傾向は80代まで続きます。

高齢者の頭の使い方が変化する理由のひとつは、脳の一部の機能低下を補うためですが、それだけではなく同じ結論に達するのに様々な脳の部位を使うので、より深い洞察が伴い「知恵脳」になると考えられています。

こういう点から国や企業のリーダーには高齢者の方がふさわしいともいえるようです。若いころと変わらない「脳力」を持つ高齢者は多く、脳には優れた可能性があり脳の備蓄、維持、補償がうまくできていれば、70代、80代になっても優れた脳力を保てます。

さらに「瞑想」することにより、脳の劣化防止だけでなく、灰白質を増加させる効果もあるとしています。こういった研究もあるのですが、今回のアメリカ大統領候補のように、70代しかいないというのは問題のような気がします。


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