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「太りやすい体質」と腸内細菌叢との関連

2022-05-04 10:25:42 | 自然
私は太りにくい体質のようで、若いころから体重の増減はほとんどなく、30年ほど前の気に入ったスーツは今でも問題なく着ることができます。

肥満になるかどうかは体質(遺伝子)によるものが60%以上という説も出ていますが、最近肥満の人が増加しているようです。

イギリスのインペリアルカレッジと世界保健機構(WHO)の共同研究で、世界の186か国を対象にBMIを調べた最新の調査によると、BMI30以上を肥満と定義した場合、世界の肥満人口は1975年から40年間で急速に増えており、6億4100万人に達したということです。

肥満の割合は男性は3倍以上の11%に、女性は2倍以上の15%に上昇しています。日本肥満学会の判定では、WHOの基準とは異なりBMIが25以上で「肥満」とされていますが、男性の28.7%、女性の21.3%が該当しており、いずれも1975年に比べて割合が増えています。

肥満の原因としては、高カロリー、高脂肪、高糖質の食事が原因であるとされ、近年増加している理由としては、生活習慣や食事の内容の変化が原因であると説明されることが多いのですが、事実はそれほど単純ではないようです。

色々な疫学調査の結果では、脂質や糖質の摂取量とBMIとは関連がないことが指摘されています。体重増加に関連する要因として「食物繊維の摂取量の低下」が分かってきました。

ここで肥満マウスの実験に触れますが、レプチンという食欲を抑えるホルモンをつくる遺伝子が1カ所違うだけで、永遠にエサを取り続け通常マウスの3倍もの体重になります。

この肥満マウスの腸内にいる腸内細菌叢を調べたところ、肥満マウスにはバクテロイデス菌が通常マウスの半分ほどしかおらず、ファーミキューテス菌が増えていることが分かりました。

この研究結果をもとにバクテロイデス菌のことを「やせ菌」、ファーミキューテス菌を「デブ菌」というようになりました。これはマウスだけではなくヒトにも当てはまることが分かってきたのです。

この腸内細菌叢が肥満に関連している実験として、肥満したマウスの腸内細菌叢を無菌マウスに移植したところ、やせていたマウスは食事や運動習慣に変化がないのに体重が増え始めました。

この論文は2006年に発表されましたが、「肥満」という体質が腸内細菌叢によって伝染するという衝撃的なものとなり、栄養についての考え方に革命をもたらしたようです。

その後の研究で「デブ菌」は脂肪の吸収を上げるだけでなく、吸収されたエネルギーを脂肪細胞に貯蔵するよう命令する働きもありことが分かりました。このように腸内細菌叢が肥満へと体質を変えるという説が徐々に定着し始めているようです。

最近はダイエットとも関連して腸内細菌叢の研究が活発になっていますが、この研究が進めば無理なく「やせ菌」を増やす方法が見つかるのかもしれません。


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