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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

土居美咲選手 WTA初優勝

2015-10-26 10:20:34 | テニス
女子テニスの土居美咲選手が、WTA公認の下位の大会ではありますが、バリバルクセンブルグオープンで初優勝を飾りました。

日本の女子テニスは、伊達公子がケガで勝てず、杉山愛引退後はなかなか若手が出ず、26歳の土居と奈良くるみが期待されているのですが、ランキング90位程度からなかなか上がれませんでした。このくらいのランクですと、WTA500クラスの大会では予選からの出場になりますので、なかなか勝ち上がれません。そういう状況の中で今回の初優勝でした。

男子の錦織クラスになれば、どんな大会でも出場可能となりますが、100位程度では下位の大会に出て、20ポイント程度をこつこつ積み上げなければいけませんので、本当に厳しい世界です。錦織はATPファイナル(世界上位8人だけが出場する)出場に向けて、今日から始まるスイスインドアに出場予定だったのですが、肩の故障で欠場するということでがっかりしていました。こういう時に土居が順調に勝ち上がっているというニュースが入ってきたわけです。

しかしこういった下位の大会では、なかなかPC動画すらやっていませんが、準決勝から配信されることが分かりました。そこで初戦からの記録を調べてみますと、この大会はランキング10位の選手が第1シードだったのですが、早い段階で敗退し、土井は1回戦と3回戦でシード選手を破っていました。期待して準決勝を見たのですが、時間も夜9時過ぎからとちょうどい時間でした。

このルクセンブルグはどこにあるのかとか何語の国かなどまったくわかりませんでしたが、PC動画をテレビに接続したところ、やや画質が悪いものの十分見ることができました。ところがこの準決勝は、順調に土居が1セットとったところで、相手が棄権してしまいました。どういう形にしろ決勝進出ですので、昨日は11時からの決勝を観戦しました。

相手は25歳のドイツの選手で、ランキング55位で185cmの長身でした。開始早々相手のサービスをブレークし、好調な出だしでした。土井は積極的に前で打つスタイルで、それほど強打はないのですが、安定したストロークで押していました。そのまま6-4でこのセットを取り、優勝できるかもという期待が高まってきました。2セット目は女子にしては珍しくサービスキープが続き、タイブレークとなりました。しかし残念ながらこれを落とし、1-1でファイナルセットに入りました。ところが相手の選手が疲れたのか、緊張が切れたのか全くダメになり、何と6-0で土居が勝つことができました。

表彰式まで見ていましたが、優勝スピーチはややお粗末だったものの、見事初優勝です。今シーズンはほぼ終わりですが、来年に向けて女子テニスも期待できそうです。

唐辛子の辛み成分のはなし

2015-10-25 10:13:57 | 化学
今日は唐辛子の辛み成分のカプサイシンの話です。

カプサイシンはカプサイシノイドと呼ばれる一群の化合物の一種で、無色透明の結晶です。唐辛子の成分というと赤い色のイメージがありますが、実際の辛み成分には色はなく、唐辛子の他の成分の赤い色です。

化学的に言いますと、カプサイシンはバニルアミンという物質の、脂肪酸とのアミドという構造を持っていますので、バニロイドの仲間でもあります。バニラのあの甘い香りと、激しい辛み成分が同じような構造を持っているというのも面白いところです。カプサイシンは脂溶性の物質で、アルコールにはとけますが、水にはほとんど溶けないという性質を持っています。これは口の中の受容体活性化チャネルという部分に結合し、灼熱感を与えますが、実際には温度は上昇していません。

この作用は、はっかの成分であるメントールが逆に冷却感を感じるとのメカニズムは同じようなものです。カプサイシンは発汗作用がありますので、食べると体が熱くなり汗が出ますが、やはり実際の体温は上がっていません。若干毒性もあり、急性毒性を示すLD50も出ていますが、人間の数値としては、唐辛子を一度に数Kgというオーダーですので、実際には問題はないと思われます。

作用としては食べたときの辛みというのが最も特徴的ですが、血液中から脳内に入り、内臓感覚神経に働き、副腎からアドレナリンの分泌を活発にして、前述の発汗作用を起こすとされています。そのため強心作用が認められるようです。またこの受容体に結合すると、痛みの伝達を抑えるため、痛みを感じにくくすることが知られており、この性質を利用して、帯状疱疹後の疼痛の改善や、糖尿病性神経障害の痛みの治療に使われたこともあるようです。しかしこのカプサイシン軟膏は、塗った直後に激しい刺激があることなどから、現在は使われていないようです。

しかしこのような知見から、カプサイシンの受容体に働く、新しい鎮痛剤がいくつか開発されています。この体が熱く感じ汗が多量に出ることから、脂肪を燃焼させダイエットに有効ということで、いろいろ出ているようですが、どうも人間に対しての科学的根拠は明らかではないようです。むしろ唐辛子のような刺激物を頻繁に食べる、韓国などではその副作用を問題とするような研究結果も出ているようです。

用途としては催涙スプレーに使用されたり、高齢者の嚥下作用の低下を改善する目的で、カプサイシントローチなども開発されているようです。このようにカプサイシンは、単に辛み成分としてだけではなく、天然有用物質の一つといえます。

辺野古移設は白紙にしたら

2015-10-24 11:05:49 | 時事
沖縄普天間基地の辺野古への移転が難航しています。

先日翁長知事が、辺野古の埋め立て承認を取り消し、国はその不服申し立てをするという、泥仕合風になってきました。これからどういう展開になるかわかりませんが、法廷を含めて全面的に争うのはおかしいような気がします。

この問題の歴史的な背景としては、米兵の少女暴行事件に端を発した、沖縄の基地削減運動だったと思います。これが危険な普天間基地の移設という方向で進んできたのだと理解しています。一旦決着したはずの辺野古移設が、民主党政権で白紙に戻り、結局今の安倍政権でまた動き始めた状況と思います。

しかし地元の沖縄がこれだけ反対しているのに、現政権はなぜ強引に進めようとしているのでしょうか。普天間基地移設という実績を残したいのか、普天間基地跡の開発の利権が絡んでいるのかと勘ぐれなくもありません。

不思議なのが、この基地を移転した場合、あれだけ広大な基地跡が当然日本に、つまり沖縄に返還されるはずで、それをどう開発するかの声が全く聞こえてきません。基地移設というのは、もちろん危険な状態を修正するのが第一ですが、返還後どう開発して沖縄の発展に寄与させるか、そこまで含めて基地移転の是非を考えるはずです。

米軍基地がなくなった後も、米軍が管理するとは考えられませんし、沖縄県知事選の時、跡地にUSJのようなテーマパークを作るとか、カジノを開くなどといった候補者もいたような気もしますので、沖縄に返還されるのは確かでしょう。沖縄にとってこの経済効果は非常に大きいような気もしますが、そういった点も含めて、辺野古への移設反対になっているのであれば、政権としては強引に進めるべきではないと思います。ここはいったん白紙に戻し、普天間基地の県外あるいは国外移設を求めて、じっくり取り組むのが筋のような気もします。

民主党政権が1年かけて模索したものが、結局辺野古に戻ってしまったということは、かなり難しい問題であることは確かです。しかしアメリカのアジア戦略も変わりつつあるような気もしますので、5年か10年あるいはそれ以上かもしれませんが、沖縄という地理的優位性がなくなれば、県外も十分可能なような気もします。沖縄の反対運動を見ていると、「現状維持」以外の政策は出ていないのですから、辺野古基地建設さえ中止すれば、ある意味問題は解決すると思われます。

この普天間基地問題が出てから20年近くの歴史で、沖縄の人たちも米軍基地削減は非常に時間がかかることは理解しているはずですので、米軍の政策変更を待つのが最善の策なような気がします。

海外旅行の思い出 その3

2015-10-23 10:25:53 | 旅行
今回はオーストリア(オーストラリアではありません)に行った時の話です。オーストリアは、首都ウィーンがかなり有名ですが、観光に力を入れていないのか、あまり行ったという話を聞かないような国です。今回はその田舎町グラーツでの学会に出席した時の話です。

こういった小さな空港ですので、当然直行便などなく、ドイツのフランクフルトでの乗り換えとなりました。フランクフルトまでは特に問題なく到着したのですが、かなり遅い便で現地時間の夜の9時過ぎだったと思います。乗り換え時間は2時間以上あったので、のんびりトランジットのチェックインカウンターに行ったところ、いくつかの航空会社のブースがあるのですが、私の乗る航空会社がないのです。

JALのカウンターがあったので、ここなら日本人がいるだろうと行ってみましたが、日本語ができる人はおらず、どこに行ったらよいか聞いてみたところ、そばにある大きな電光掲示板に、その便のゲートナンバーが出るので、直接ゲートでチェックインするということでした。幸い近くにバーカウンターがあり、そこでビールを買って飲みながら待っていました。

最初は周りにも多くの人がおり、さすがに日本人はいないようだなど、ガイドブックを見たりのんびりしていましたが、時間がたつにつれ急激に人が減ってきても、まだ私の便のゲートは空欄のままです。やや不安になってきたころやっと番号が出ました。急いでそのゲートに行き、無事チェックインができ、かなり広い待合室に入りましたが誰もいません。しばらくたっても誰も来ず、不安になりゲートに行きましたが、そこにいたお姉さんも姿を消しています。どうしたらよいかは当然わからず、空港全体にも人影がまばらになっています。

何とかなるだろうと、誰もいない待合室にいると、搭乗時間間際に一人入ってきました。結局搭乗してみると、50人乗りぐらいの飛行機に私を含めて3人しか乗客がいませんでした。海外にもこんな赤字路線があるものだと感心しているうちに、無事グラーツの航空に到着しました。
時間が午前2時ぐらいなので、タクシーがいるか心配しましたが、2台止まっていました。そこに乗り込もうとすると、座席がひどく汚いのです。それでも座ろうとすると、運転手が何か言って呼んでいます。なおオーストリアはドイツ語圏ですが、英語だったようで、どうも助手席に座れということのようでした。その後何回かタクシーに乗りましたが、常に助手席に座ったので、オーストリアはこれが普通のようでした。

ホテルの部屋に入って落ち着きましたが、別に問題はなかったもののかなり疲れた旅行の始まりでした。

祝 大村先生ノーベル賞受賞 続々

2015-10-22 10:26:41 | 時事
前回大村先生が土壌から分離した、放線菌の生産物としてアベルメクチンを見出し、これが線虫に対して良い活性を持つことから、アメリカメルク社において化学修飾し、イベルメクチンが生まれたことを書きました。

当社がアベルメクチンを生産するという話がありましたので、実際にこの化合物がどんなものかサンプルをもらって調べてみました。他のマクロライド類と同じように、非常に脂溶性(油に溶ける性質)が高く、水には全く溶けません。分子内にいろいろな官能基がありますので、化学修飾には向いている化合物ですが、やや酸に弱い性質を持っていました。たぶんこのあたりの安定性を増したのが、イベルメクチンのようです。

当初イベルメクチンは、牛の線虫感染症治療薬として開発されました。アメリカは酪農大国ですが、この多数の牛が線虫に感染し、最悪の場合死亡するというのが問題になっていました。この特効薬となったのですが、メルク社の開発方針は素晴らしいものでした。前述のようにこの薬は油に溶けやすい性質を持っていますので、経口剤つまり飲み薬は簡単にできます。しかし多数の牛に飲ませていくことは、いろいろ問題が多いようでした。そこであえて経口薬ではなく、注射薬として開発したのです。

このように水にまったく溶けない薬物を、注射剤にするのはかなり難しいことになりますし、イメージとして牛に一頭ずつ注射するのも大変なような気がします。しかし実際はインジェクション(注射)装置ができ、それを並べておく下を牛が歩くだけで、一定量の約液を注入できるというシステムを作りました。この装置のおかげで、何千頭という牛も比較的簡単に摂取できるようになり、イベルメクチンが爆発的に売れたわけです。

その後の研究で、人間の風土病、アフリカなどの河川盲目症にも効果があることがわかり、人への応用が始まったわけです。特にイベルメクチンをWHOを通して、こういった風土病の地域に無償提供したことが、ノーベル賞受賞の重要な要素になったようです。そのほか人のカビによって起きる疥癬にも効果があることがわかってきましたので、そういった方向にも使われるようになりそうです。

しかし私はこの業績のすばらしさは、やはり牛の感染症を治療し、酪農の安定化に貢献したことだと思います。こういった本当に社会の役に立つものを開発した事が、ノーベル賞の対象になったというのは嬉しいことです。私が所属していた財団主催で、先生の受賞祝賀パーティーを開催するように働きかけるつもりですが、まあ難しいかもしれません。