ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

体内時計のメカニズム

2019-12-26 10:28:14 | 自然
体内時計のずれを放置していると、不健康になり仕事のパフォーマンスも落ちます。このズレを治すカギは「光」とされているようです。

休み明けの月曜日に何となく体がだる、頭がボーとするなどは、「社会的時差ボケ」といわれる現象で、「体内時計」の針がずれている可能性が高いといわれています。

哺乳類の時計遺伝子が発見されたのは1997年で、体内の臓器、皮膚、血液などのあらゆる細胞の中に時計遺伝子が見つかっています。この時計遺伝子が作り出す体内時計によって、我々はたとえ外からの時刻情報がなくてもリズムを作ることができます。

人だけでなく地球上に暮らすほぼすべての生物は体内時計を持ち、それぞれのリズムを刻んでいます。地球の自転や公転、潮の満ち引きなど天体活動によって生じるリズムにうまく同調すれば、生存が有利になるためです。

朝になると体温や血圧が上がって活動の態勢に入り、消化器官が活発に働いて栄養を吸収し、暗くなると睡眠ホルモンが分泌されて眠りに誘われます。必要な時間にベストパフォーマンスを発揮できるように、体内時計は調整しているのです。

しかし時計遺伝子が作り出す体内時計はいつも正確に時を刻んでいるわけではありません。体内時計の司令塔(中枢時計)が生み出す周期は、人では平均して24時間よりも少し長くなります。

その為毎日時計の針をリセットしなければ正確な時間が刻めなくなりますが、リセットに欠かせないのが「光」のようです。中枢時計が光を感じて時計を合わせると、臓器などに存在する時計遺伝子(末梢時計)へ、神経やホルモンを介して時刻情報を伝えます。

体内時計をオーケストラに例えると、中枢時計が指揮者で末梢時計が楽器演奏者となります。朝に光を感じてすぐに食事をとればきれいな演奏になります。

夜にたくさんに食事をしたり、スマフォやパソコンから発せられるブルーライトを見続けると、時計の針が狂い演奏の足並みもそろわなくなります。これが目は開いているが体は寝ている状態=社会的時差ボケとなるのです。

これで血糖値を下げるインスリンの働きが悪くなって糖尿病のリスクが高まったり、代謝システムをコントロールする遺伝子のリズムが狂えば、高脂肪食を取らなくても太りやすくなるようです。

こういったことの対策として、朝太陽光を浴びるとか夜はなるべく暗くするとか言われていますが、あえてそのような行動をとらなくても、自然に体内時計はリセットされているような気もします。

こういったことも個人差が大きそうですので、寝起きが悪い人などは試してみても良いという程度のことでしょう。

コンサートに行ってきました

2019-12-25 10:03:46 | 文化
昔から大ファンである山下洋輔のコンサートが新宿文化センターであり、先日行ってきました。

山下洋輔がトリオ(ピアノ、ドラムス、サックス)を結成したのは1969年で、その50周年を記念して「爆裂半世紀」というコンサートを豪華ゲストを迎えて開催しました。

構成は新しいメンバーでの演奏から徐々に結成時に戻っていくというものでしたが、当然出演者は70歳程度の年寄りとなりますが、皆さん非常に元気でした。

第一部はゲストとして演劇の麿赤児の舞踏が加わったり、往年のロックスターが出たりしましたが、この辺りは私はよく知らず、私の持っているCDの曲を生で聞けた方が良かった気がしました。家で何度も聞いている曲の生演奏は、また違った楽しみがありました。

サックスのアドリブは若干違っていましたが、坂田明得意の「赤とんぼ」入れるなど往年の雰囲気が出ていました。

第2部にはスペシャルゲストが登場しました。パンフレットにも出ていない坂本龍一が登場し、山下洋輔とピアノヂュオを披露しました。ピアノにいろいろ工夫をしチェンバロのような音を出したり、ピアノの弦を直接指で弾くといった趣向が入った楽しいヂュエットでした。

次のゲストはタモリで、山下トリオとの面白いトークもありましたが、タモリは福岡で山下トリオが見つけ出し、東京に連れ出すことによって現在のタモリとなったようです。

山下トリオの演奏が始まると、タモリがスキャットで加わってきました。タモリらしい変な言葉も織り交ぜながら、トリオの演奏に見事に入っていました。

適当なスキャットのようでいて、うまく乗っておりだんだんタモリの顔が赤くなっていくのが印象的でしたが、見事に1曲が出来上がっており、タモリの音楽性の素晴らしに感動しました。

最後が山下洋輔トリオに入っていたすべての人が揃った演奏となりました。ピアノ以外にサックス3人、ドラム2台と、ただでさえ迫力のあるトリオの威力が増した素晴らしい演奏でした。

サックスの3人の微妙に違った音質や個性のあるアドリブ、2台のドラムの掛け合いなどこういった大きな会場でしか見られない楽しい演奏となりました。この頃になると山下洋輔もピアノのひじ打ちなども頻繁に入り、大いに盛り上がっていきました。

アンコールにはこのメンバーでのおなじみの曲でしたが、やはり素晴らしい迫力に圧倒され、あっという間の2時間半となりました。私はこのチケットはかなり早めに購入したのですが、それでも1階席の後ろの方で、やや物足りない席かと思っていましたが、全く距離を感じさせない素晴らしいコンサートとなりました。

多分満員となった聴衆全てが満足したのではないかとかみさんと話をしながら帰ってきました。

日本の高齢者は「やせ過ぎ」

2019-12-24 10:20:52 | 健康・医療
歳を取ればやせてきても当たり前と考えてしまうかもしれませんが、実は高齢者の場合にはむしろ太っていたほうが、要介護や死亡のリスクが少なくなることが分かってきました。

日本人の高齢者(65~79歳)を11年間フォローした研究では、やせている人よりも太っている人の方が死亡のリスクが低くなることが分かりました。身長と体重から算出されるBMI(体重(Kg)/身長(m)の2乗)という数字が体格の基本としてよく使われます。

一般的には22が標準、25を超えると肥満、18.5を下回るとやせとされていますが、高齢者の場合女性は軽度肥満(23~24)、男性は中等度肥満(27~29.9)の人が最も死亡のリスクが低くなります。

海外でも同様の報告がされており、アメリカの研究では、高齢者は軽度肥満(25前後)の人が最も要介護になりにくく、中等度肥満(27前後)の人が最も死亡のリスクが低くなっていました。

茨城県で行われた大規模な研究では、年齢と共に少しずつ体重を増やしていくのが、安全な(死亡リスクの低い)年の取り方であることが分かりました。60代では男性は25.1、女性は22.8、70代では男性25.5、女性24.1が最も死亡リスクが低くなります。

高齢者は年齢とともに少しずつ太っていくのが安全な歳の取り方、という事が分かってきているのですが、日本では全く逆のトレンドがあります。高齢者は年齢とともにどんどんやせていくのです。

たとえば在宅療養している高齢者の平均BMIはなんと18.1であることが分かっています。安全な太めの高齢者はわずか4%で、やせとされる18.5よりも上の人を全部合わせても40%しかいませんでした。

日本の在宅高齢者の実に6割は、18.5未満のやせ過ぎの状態といえます。16未満の重度のやせの人が28%もいることが分かりました。死亡リスクのデータによれば、高齢者が16を下回ると、22の人と比較して何と2.6倍になります。

私は多分BMIは18程度でやせに入りますが、実はこの数値は若い時からほとんど変わっていません。いわば一生もう少し太ることを目標としてきたのですが、これは遺伝的体質のようで全く変わりませんでした。

ですからこの記事のように高齢者は太った方が良いと言われても、たぶん無理なことのような気がします。まあこういった疫学研究の結果は、統計的にどちらが良いかというものですので、あまり気にすることでは無いかもしれません。

それでもどんな名医にかかっても、どんなに高級な薬を飲んでも死亡のリスクは大して変わらないのに、やせている人はしっかり食べて体重を取り戻すだけで、死亡のリスクが半分以下に下がるというのは、なかなか面白い結果といえるのかもしれません。

腎細胞ガンに特異的なタンパク質を発見

2019-12-23 10:05:52 | 自然
腎細胞ガンの細胞に特異的に発現して転移にも関わるタンパク質を見つけたと、千葉大学の研究グループが発表しました。

このタンパク質が腎細胞ガンの腫瘍マーカーや抗ガン剤に使えると期待されています。研究グループが着目したのは「アミノ酸トランスポーターLAT1」と呼ばれるタンパク質です。

アミノ酸トランスポーターは細胞の中にアミノ酸を運ぶ役割を果たしており、人体の維持に必要な必須アミノ酸(ロイシンなど)を取り込む役割があります。LATには1~4までの種類がありますが、中でもLAT1は様々なガン細胞に発現することで近年注目を集めています。

研究グループは腎細胞がんの手術を受けた患者のガン組織と正常組織をそれぞれLAT1の反応する抗体で染色しました。するとガン組織にはLAT1が多く発現しており、ガン組織での発現が多いほど転移や再発が多いことが分かりました。

私の大学時代の友人も数年前に腎臓ガンになり、片側の腎臓を摘出しましたが、残りの腎臓にもすぐ転移をするだろうと言っていました。しかし幸いにも転移や再発もなく、昨年会いましたが元気にしていました。

研究グループは既に製薬会社と共同で、LAT1の働きを抑える阻害剤を開発していました。今回その阻害剤を腎細胞ガンの細胞に投与する実験をした結果、ガン細胞の増殖が抑制されることが明らかになりました。

これまで腎細胞がんの腫瘍マーカーはなく、研究グループは今回の成果からLAT1が腎細胞がんの初の腫瘍マーカーとして活用できる可能性があるとしています。またLAT1の阻害剤が抗ガン剤として使える可能性を検討するとしています。

腎細胞ガンの細胞に対して阻害剤を投与すると、細胞の中に入るアミノ酸の量が減少します。また必須アミノ酸の流入が減少することにより、アミノ酸により活性化されガンの細胞増殖に重要な役割を果たすリン酸化酵素の活性が低下し、その結果腎細胞ガンの細胞増殖が抑制されることが分かっています。

腎臓のガンには腎細胞ガンと腎盂ガンとがあり、腎臓ガン患者数は約30年にわたって増加傾向にあります。患者の男女比は約2:1で男性が発症しやすく、男女とも50歳代から増えており社会の高齢化とともに今後も患者が増えると見られています。

今後は腎細胞ガンだけでなく前立腺ガン、膀胱ガンなど他のガンへの応用研究や、ヒトへの阻害薬投与を行う臨床研究を計画しており、実用化に向けて研究を進めるとしています。

ただしLAT1は正常細胞にも存在するタンパク質ですので、大量発現しているとはいえガン細胞との区別が問題になるような気もします。

アメリカの医師が認めるムダな医療

2019-12-22 10:19:50 | 健康・医療
アメリカでは医療界が率先して無駄な医療を減らそうとする動きが起きています。

それが「賢い選択、CW」キャンペーンで、2012年医師らで構成する非営利組織、米国内科専門医認定機構財団が中心となり、不必要と思われる医療行為のリストを作成してインターネットに公表しました。

アメリカでは学会などの有力者の考えで医療の方向性が左右されていた時代から、「根拠に基づく医療」へと医療現場の考え方そのものが劇的に変わりつつあることが大きく影響しました。

CWは全米に広がり、現在は100万人以上の臨床医が所属する80以上の医学会がキャンペーンに参加しています。医師だけではなく、看護師、理学療法士、作業療法士、薬剤師などの医療従事者全体へと広がりを見せています。

彼らが掲げるムダな医療行為は、例えばCT検査を上げています。日本はCTの装置が異様に多い国ですが、CWでは胸部X線検査に比べると被ばく量が多く、腹痛や子供の虫垂炎、ガン検診ではむやみに行わないことを推奨しています。

本当に必要なケースでなければ、メリットよりもデメリットが上回る医療とされています。またウイルス感染症に抗菌薬というような処方は耐性菌などのデメリットがあるうえ、効果は全くなく、手術の切り傷や急性副鼻腔炎などでも抗菌薬は推奨されていません。

こうした無駄な医療はなぜ生まれるかについては、医師と患者の認識の差に問題があるとしています。患者側は現在の医療が厳格で科学的に行われていると思い込み過ぎており、医療側は新しいエビデンスやデータよりも自分の経験の方が勝っていると思い込みがちです。

そのため漫然とした医療行為が自身の経験のみに基づいて継続され、患者側も医療を盲信して疑問を持たないことが多いとしています。

ここでは無駄な医療とされる例を非常に多くあげていますが、例えば膝関節症にコンドロイチンなどを使わないといった、素人の私でもそんな医療はおかしいと感じるものがほとんどでした。

ただ頭痛では脳波を測定しないといったことは、詳しい診断という点では必ずしも無駄ではないような気もします。たた現代の医療が測定機器に頼りすぎていることは確かで、何か症状を訴えるととりあえず検査をするという風潮は日本でもあるようです。

医師によっては患者の身体に触ることもせず、検査結果を見るだけで診断するといった傾向があります。

本来ならば詳しい問診を繰り返すことによって原因を探るべきなのに、時間の問題なのか分かりませんが、診断がつかないとさらに検査をする、または適当な薬を処方して様子を見るという医師が多いように感じます。

医療側からの無駄なことを取り上げる試みは、日本でもやって欲しいことと言えそうです。