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ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

イネの遺伝子を改良し収量を増加

2021-03-16 10:26:13 | その他
名古屋大学などの研究グループが、遺伝子の発現を高めイネの収量を30%以上増加させることに成功したと発表しました。

これはサイエンスポータルに解説記事が掲載されていましたが、このサイトはなかなか面白い話題が出ており、特に研究機関や大学のプレスリリースが出ていますのでよく利用しています。

この成果はイネの根が栄養分を吸収する際に働くタンパク質の量を増やすことで、光合成や栄養吸収を活発にできた結果です。研究グループはこの方法を実用化できれば、肥料などを削減することによって環境問題にも貢献できるとしています。

植物は根から窒素、リン酸、カリウムなどの栄養分を吸収し、葉の気孔から二酸化炭素をを取り込んで光合成をおこなうことで成長します。

名古屋大学や中国・南京農業大学などの研究グループは、植物の葉が二酸化炭素を取り込んだり、根が窒素やリンなどを吸収したりする際に「細胞膜プロトンポンプ」と呼ばれるタンパク質が重要な働きをすることをすでに明らかにしています。

この細胞膜プロトンポンプに着目し、遺伝子組み換え技術を利用してこのタンパク質の遺伝子の発現を高めて、タンパク質量の多いイネを作りました。こうすることにより根の窒素養分の吸収が20%以上、光合成活性が25%以上高まることが分かりました。

実験室内の水耕栽培ではイネの収量(乾燥重量)が18〜33%増加していました。この研究成果を受けて2年にわたって4カ所の野外試験用水田で収量評価試験を行ったところ、収量が30%以上増加することが確認できました。

細胞膜プロトンポンプの遺伝子発現を高めたイネは、肥料の窒素量を半減しても通常の窒素量の野生株より収量が多いことも分かりました。

この成果は世界的な問題になっている急速な人口増加による食糧危機や耕作地から窒素が流出することによる環境汚染の解決に貢献すると期待されています。このように遺伝子改変植物がついにイネまで範囲を広げたことになります。

私は基本的に遺伝子組み換え植物の安全性は問題ないと思っていますし、今回の研究は遺伝子の発現量を増やしているだけなので全く危険性はないでしょう。

ただ自然の植物をどこまで遺伝子変異により人間に適したものに変えていくかは、若干問題があるような気もしています。

1日3食は健康に悪いのか

2021-03-15 10:25:01 | 健康・医療
最近16時間断食ダイエットとか、若返り遺伝子であるサーチュイン遺伝子は空腹のときに活性化するといった話が多くなっています。

こういった風潮の極論的な「1日3食は健康に悪い」という話がプレジデントに掲載されていました。

私は1日3食というのは日本だけではなく世界的ないわば文化であり、歴史的にも最も良いとされているものを壊そうとするのはおかしいというのが基本です。この意見を紹介しながら反論してみます。

食事のあと食べ物が消化されるまで、胃の中に存在する時間は平均2〜3時間、脂肪分の多いものだと4〜5時間ほどといわれています。小腸は胃から送られてきた消化物を5〜8時間かけて分解して、水分と栄養分の8割を吸収します。

大腸が小腸で吸収されなかった水分を15〜20時間かけて吸収します。一日3回食事をとると、朝食から昼食までの間隔は4〜5時間。昼食から夕食まで6〜7時間程度となります。

前の食事で食べたものがまだ胃や腸に残っているうちに次の食べ物が運ばれてきてしまうことになるとしています。しかしここで触れていない夕食から次の朝食までは10時間以上間隔があり、十分胃腸は休む時間があるといえそうな気がします。

「一日3食」を続けていると、胃腸が疲れて消化機能が衰え体にさまざまな不調が現れます。食事から十分な栄養を取ることができなくなり、きちんと食べているのにエネルギー不足になってしまうようです。

さらに腸内細菌は、健康なときは善玉菌が優勢ですが、腸の働きが鈍くなると悪玉菌が優勢になります。そして腸の働きがますます鈍くなるという悪循環に陥り、便秘や下痢などが起きやすくなります。

この辺りは一日3食というより食べ過ぎの弊害を述べているような気がします。さらに肝臓も一日3食で疲れてしまうとしています。

肝臓は実に働き者で、食後体に入ってきた栄養素をエネルギーに変えたり、余分なエネルギーを蓄えたり、食べ物含まれているアルコールなどの毒素を処理したり胆汁を作ったりしています。

そのため食事の間隔が短いと肝臓はフル回転で働かなければならずどんどん疲弊していくようです。この辺りは暴飲暴食といわれる様なケースでは当てはまりますが、通常の食事で疲弊することはないでしょう。

その他の理由も挙げていますが、10時間経つと肝臓に蓄えられた脂肪が分解されエネルギーとして使われるようになり、さらに16時間を超えると身体に備わっている「オートファジー」で新しい細胞になるとしています。

そこでこの筆者は16時間の断食時間を作ることによって、健康や老化防止が図れるとしています。この時間は夕食から朝食を摂らないとそのくらいになりますが、朝食を抜くことのデメリットは色々と指摘されています。

私のようなフレイルが心配されるような高齢者は、あまり実践する意味がないと思われます。


iPS細胞の臨床試験の実態

2021-03-14 10:24:40 | 健康・医療
京都大学の山中先生が見出したiPS細胞は、すでに15年がたっていますがなかなか実用化のめどが立っていない気がします。

研究資金としては2013年度から10年間の計画で約1100億円が投入されており、それなりに良い環境で研究が進んでいます。再生医療として大いに注目を集めていますが、臨床試験でも多額の費用がかかったり、当初の予想よりは進展していないような気がします。

週刊朝日に掲載された臨床研究の記事がありましたのでその一部を紹介します。最初の臨床研究は、理化学研究所との共同で網膜色素変性症の患者にiPS細胞から作った神経網膜シートの移植です。

この病気は光を感じる網膜の視細胞が周辺から死んでいき失明に至るもので、国内に約4万人の患者がいると推定されています。この治療法は現実的には存在しないため、この網膜移植術が期待されています。

健康な人のiPS細胞からつくった前駆細胞を使った直径約1ミリ、厚さ約0.2ミリの神経網膜シートを、網膜下に1〜3枚挿入するものです。視細胞になる直前である前駆細胞の段階で移植すると、成熟していくため網膜再生が期待されています。

今後は約1年かけて安全性を確認し、さらに数年機能面の観察を続けるようです。2020年10月に始まったもうひとつの臨床研究が、iPS細胞から作った免疫細胞であるナチュラルキラー(NKT)細胞を、ガン患者の血管に注入する治験です。

対象者は頭頸部ガンの患者で、頸や顎、鼻、口の中、のどなどにできるガンで、国内に数万人の患者がいると推定されています。この研究は千葉大学と理化学研究所が共同で進めています。

NKT細胞とは自然免疫系に属するリンパ球の一種で、入ってきた外的を真っ先に反応して退治するパトロール隊のようなものです。しかし人血液中にはわずかしか存在しないので、実用化は難しいとされていました。

この臨床研究ではNKT細胞を取り出し、iPS細胞にして増やしたうえで再びNKT細胞に変化させるというプロセスを経ています。こうすることでより免疫の働きを持つ物質を多く分泌することができるとしています。

今回の治験の主な目的は安全性を確かめることで、合わせて有効性なども調べています。この様にいくつかの臨床試験は始まっていますが、このiPS細胞を用いる場合の最大の欠点は非常に準備に時間がかかるという点です。

そのため一つの治験に莫大な費用がかかり(先の網膜でも5000万円以上)、果たして一般的な治療法になり得るのか疑問です。当然コストダウンの研究も行われているようですが、iPS細胞から目的の細胞を作ること自体にまだ何千万もかかっているようです。

私もiPS細胞には再生医療という新しい分野での応用を期待していましたが、何となく期待外れにならなければよいのですが。

若い人にも起きる原発性アルドステロン症

2021-03-13 10:25:11 | 健康・医療
高血圧の患者は国民病と言えるほど多いのですが、その内副腎から血圧をあげるホルモンが過剰に分泌されることが原因の高血圧を「原発性アルドステロン症」と呼んでいます。

この病気は若い人でも発症し、脳卒中や心筋梗塞になるリスクが高く、また降圧剤を飲んでも血圧が下がりにくいことが特徴です。

副腎は腎臓の上にある3センチほどの臓器で、いろいろなホルモンを分泌しています。副腎皮質ホルモンは代表的なものですが、アルドステロンもそのひとつで、腎臓に作用して塩分を取り込み血圧をあげています。

家のネコが血液検査でカリウム値が低く、エコーで検査したところ副腎が腫れているという診断を受けたことがありますが、経過観察で問題なく治まりました。

副腎に異常があるとホルモン類が必要以上に分泌され、体内に塩分をため込み過ぎて高血圧になります。副腎の異常は両方の副腎が腫れて大きくなる場合が6〜7割、片方に良性の腫瘍ができる場合が3〜4割といわれています。

原発性アルドステロン症は若い人でも発症し、生活習慣とは関係なく高血圧になります。国内の高血圧患者の約1割、約200万〜400万人がこの病気と考えられ、予想以上に患者数の多い病気です。

アルドステロンは細胞や神経の機能維持に必要なカリウムを排泄する働きもあり、血液中のカリウムが不足して手足に力が入らなくなることもあるようです。原発性アルドステロン症は、血液検査でホルモンの分泌量を調べることで見つかります。

健康診断で高血圧と分かったり、降圧剤を服用しても血圧が下がり難かったりするということがきっかけで発見されることも多いようです。40歳以下で脳卒中になったり、不整脈がある、腎臓の病気を患っている人もこの病気が疑われます。

アルドステロンの数値に異常があれば、CTで腫瘍の有無などを調べ、副腎につながる血管にカテーテルを入れてアルドステロンの量を直接図る検査なども行います。副腎の手術は比較的簡単で、腹腔鏡を使って腫瘍のある副腎を摘出でき、入院も1週間ほどで済むようです。

薬物療法としては、受容体拮抗薬を処方し腎臓細胞の受容体をふさいでしまう治療法が有効です。アルドステロンが出過ぎる理由は詳しく分かっていませんので、完全に治すにはやはり手術が必要なようです。

それでも薬を飲むことによって血圧が下がれば、心臓や腎臓の機能を正常に保つことができます。

アルドステロン症は単に血圧が上がるだけではなく、ホルモンの過剰分泌による症状も出ることもあるようですが、降圧剤の効果が出ない場合など早めに精密な検査を受けることが重要なようです。

市販の風邪薬には自分に不要な成分も

2021-03-12 10:24:46 | 
冬は風邪のシーズンですが、今年は新型コロナ対策で感染症にならない状況ですのでたぶんカゼの患者も少ないと思われます。

発表されているインフルエンザの患者数は例年の500分の1以下とされています。風邪は「風邪症候群」と呼ばれ、上気道(喉と鼻、肺の手前にある気管支)にウイルスが感染し、炎症が起こり鼻水やのどの痛み、発熱といった症状が現れる病気です。

この原因ウイルスが同定されれば、タミフルやアビガンのような治療薬を使うケースもありますが、通常は安静にしていれば自然回復します。それほどひどい高熱や症状が出なければ、市販の風邪薬を飲んで休むというのが一般的な対処法となっています。

昔は風邪で病院にいった場合は、いわゆる風邪薬と一緒に抗生物質が処方されていましたが、抗生物質の濫用による耐性菌の増加ということが出てから、抗生物質はウイルスに効かないから出すべきではないということで、現在では風邪で抗生物質が処方されることはなくなっています。

この点についてはこのブログでも書いていますが、問題だと思っています。風邪がウイルスによって引き起こされることは確かですが、同時または少し遅れて常在菌感染が起きるのが風邪だと思っています。

常在菌というのは体の中に常にいる細菌ですが、通常は免疫によって抑えられているため増殖することはありません。ところが免疫がウイルスに向かっているすきに常在菌が増殖するケースが多いのです。

そのため風邪のウイルスによる発熱など酷い症状が治まってから、咳が続いたりのどの痛みが治らなかったりすることが出てきます。実は医師はこういった状況をほとんど把握していません。

これは風邪のひどい症状が出て病院に行き、その後咳が取れなかったりしてももう一度病院に行く人はいないからです。私は風邪のひどい症状が治まってきたら、抗生物質を飲むことが最もスッキリ直す方策だと思っています。

風邪をひいても大部分の人は病院には行かず、市販薬を飲むことが多いと思われます。市販の風邪薬(総合感冒薬)は、発熱、咳、鼻水、のどの痛みといった風邪のさまざまな症状に効く成分が多数混ざっている配合剤です。

たとえば発熱だけで咳や鼻水の症状が出ていない場合でも、必要のない成分を一緒に摂取してしまうことになります。

ただし現在はこの状況を改善するために、市販の風邪薬でも熱用、喉用、鼻水用などに分けているといったCMをよく見ますが、基本的には配合量が少し違うだけで同一成分である可能性は高いと思われます。

専門家によると、成分をよく見て自分に合った風邪薬を購入すべきとしていますが、成分を見て薬効が分かる人はほとんどいないでしょう。現実的な選び方としては、いろいろ試して最も良かった薬を選ぶ程度かもしれません。