ごっとさんのブログ

病気を治すのは薬ではなく自分自身
  
   薬と猫と時々時事

中高年に多い疾患に共通する意外な原因と解決策

2024-10-26 10:31:56 | 健康・医療
筋肉は年齢と共に衰え、生活習慣病を引き起こしたり、脳の認知機能まで影響があると言われています。

私も何か筋力アップの運動をしたいと考えていましたが、2月のコロナの肺炎で明らかに筋力が衰えてしまいました。ただ私は歩くのが極端にきらいですので、なかなか良い運動法が思いつきませんでした。

そこで始めたのが腕立て伏せです。最初は10回やるのも大変でしたが、3か月ほどで20回できるようになりました。息がハアハアしますが、ちょうど良い運動なのかもしれません。

さてここではウォーキングを提案しています。ウォーキングなら家の周りを歩いてもいいし、どこかに行くついでに1駅分歩くこともできるし、すぐにでも始められます。ただ何となく歩くだけでは体力アップは難しいことも事実です。

どれくらいの速度で、どれくらいの頻度で、どれくらいの時間行えば、どんな効果が得られるのかを科学的に研究し明確にしました。その根拠となるのは、10年余りで7000人以上のデータをとった結果と分析です。

そこで効果的で継続しやすい「インターバル速歩」を提唱しています。ややきついと感じる早歩きと、ゆっくり歩きを一定間隔でくり返すだけのシンプルな方法です。一般に持久力は20歳前後をピークに、30歳以降男女差はありますが10歳加齢するごとに5〜10%ずつ低下します。

この加齢による体力低下の原因は、運動不足の生活をしているだけではなく、加齢による筋力の低下が主な原因となっています。

これを加齢性筋減少症(サルコペニア)と呼び、髪の毛が白くなったり肌にしわが寄るのと同じメカニズムで起こる、いわゆる老化遺伝子の仕業で、加齢現象のひとつと考えられています。生活活動度が体力に比例すると考えると、体力の低下曲線と年齢別の医療費が見事に相関します。

体力が20代の30%レベル以下まで低下すると、要介護状態になると言われています。したがって高血圧、糖尿病、肥満といった生活習慣病に留まらず、認知症やガンに至るまで、中高年に特有の疾患の根本原因は、この加齢性筋減少症に伴なう体力の低下の可能性が高いと考えられるようになりました。

最近そのメカニズムについて、体力の低下による慢性炎症の関与が指摘されています。外部から異物が体内に侵入しなくても、運動不足、肥満など体力低下を引き起こすような生活習慣で炎症反応が起こることがあるようです。

この炎症反応のレベルは非常に低く、痛みが出たり発熱を起こしたりするのはごく稀で、ほとんどの人は気が付かず、それでも着実に全身性で起こっています。

こういった慢性炎症などがウォーキングで予防できるとしていますが、歩くのが嫌いな私でもできる運動不足解消法を探してみます。

視力低下を回復する新手法、網膜修復を確認

2024-10-25 10:31:20 | 健康・医療
先日運転免許更新のための高齢者講習を受けた時、かなり詳しい目の検査をしました。

動体視力や急に暗転した時や逆に明るくなったときという、面白い検査で私は若干視野角度が狭いようでしたが運転には問題がないという事でした。この結果はどこかに提出することもなく、測定して終わりですので教習所の金もうけのためのような気もします。

さて理化学研究所などが、加齢による網膜の病気を治療し視力の改善を図る新たなアプローチを示した研究報告を発表しました。網膜の中心部にある黄斑に穴が開く「黄斑円孔」という病気があります。これは主に高齢者や女性に多く見られ、中心視力の低下やゆがみを引き起こします。

これは加齢とともに、眼球内の「硝子体」と呼ばれる透明なゲル状の液体が厚くなり、網膜を引っ張ることで組織に穴が開くことが原因とされています。

9割の患者は従来の手術で治癒しますが、難治性の場合には網膜の一部を他の部位から切り取って移植することで穴をふさぐ治療が、ひとつの方法として近年行われています。

成功率は高いものの手術操作が煩雑で危険を伴い、また網膜を切り取った部分が見えなくなってしまう問題がありました。この課題に取り組むために研究チームは、ヒト胚性幹細胞(hESC)を用いた新たなアプローチを試みました。

まずヒト胚性幹細胞を用いて、3次元培養により「網膜オルガノイド」という小さな網膜組織を作製しました。この網膜オルガノイドは、遺伝子操作によってON型双極細胞(視細胞からの信号を脳に伝える細胞の一種)を減らし、視細胞が移植先の網膜細胞とつながりやすいものを使用しました。

この網膜組織をニホンザルの右眼の網膜にある約330μmの黄斑円孔に移植しました。移植手術では、サルの目の硝子体を取り除き、網膜の内境界膜という薄い膜をはがしたのち、網膜オルガノイドのシートを黄斑円孔に挿入しました。

手術後の経過を観察すると、移植した網膜組織が黄斑円孔をきれいに埋め、穴が閉じたことを確認できました。さらに移植した組織の中で視細胞が発達し、稈体細胞(光の明暗を感じる細胞)や錐体細胞(色を感じる細胞)を形成していました。

研究チームは、サルの片目ずつ固視検査を行うよう訓練を実施しました。この検査では、画面上に次々表示される指標に一定時間視線を固定する必要があります。移植前の段階では、サルの視線が固定できたのは表示された中のわずか1.5%の指標にすぎませんでした。

しかし移植から6か月後に行われた3回の検査では、11〜26%の指標に視線を固定できるようになりました。さらに移植6か月後の局所黄斑部網膜電図検査では、網膜の特定の細胞の反応が、移植前と比べて約1.6倍に増加しました。

これは網膜オルガノイド移植による円孔閉鎖によって、サルの視機能が改善したことを示しています。これはあくまでサルでの実験ですが、ヒトにも十分応用が可能としています。

2025年東京の認知症高齢者は54万人へ

2024-10-24 10:35:48 | 健康・医療
このところ認知症の話が多くなっていますが、歳をとってくると最大の関心事と言えるようです。

身近なところでは母がたの叔父さんがアルツハイマー病ではなく、脳溢血後のひどい認知症になってしまいました。息子である従妹が施設に入れるのはかわいそうと、自宅で面倒を見ていましたが本当に大変なようでした。

しばらくすると徘徊がひどくなり、どこか怪我をして保護されるを繰り返していました。亡くなる半年前ぐらいに施設に入りましたが、発症から11年も面倒を見ていたというのは本当に感心することです。

今年1月に施行された「認知症基本法」では、認知症対策を国・地方が一体となって講じていくことになりました。東京都医師会では現在東京都健康長寿医療センターと共に、フレイル(健康な状態と要介護の中間に位置する虚弱な状態)サポート医研修を実施しています。

75歳以上の後期高齢者検診にはフレイル関連の項目が含まれています。健診でフレイルが疑われた場合にはかかりつけ医が適切なアドバイスを行い、必要な場合はフレイルサポート医が本人に適した地域のサロンを紹介するといった「社会的処方」を作成指示することでフレイルからプレフレイル、さらには健康な状態に戻していく取り組みです。

また今年から東京都と連携して「とうきょうオレンジドクター」の認定を行います。東京都には約1700人の認知症サポート医がいます。

その中から地域包括支援センターなどの関係機関と連携し、認知症を含めた地域課題解決の推進役を務めるとうきょうオレンジドクターを東京都が認定します。

認知症治療歴5年以上、認知症サポート医などフォローアップ研修の受講、地域包括支援センターとの協定合意などが認定条件です。こういった専門医制度がどれだけ認知症減に役立つかは、はなはだ疑問です。

そもそもフレイルやプレフレイルの患者が病院に行くのでしょうか。自宅に引きこもってしまう可能性が高いような気がします。認知症の治療薬はレカネマブだけでなくドナネマブも承認されています。

この薬価が異常に高いことは置いておいても、この2種のクスリはあくまで進行を止める可能性があるもので、元に戻すことはできません。投与対象はアルツハイマー病によるMCI(軽度認知障害)もしくは軽度認知症の人です。

こうした患者は本人も家族も気づかないことが多いのではないでしょうか。今後も超高齢化が進展する日本では、認知症の人がいるのが当たり前の世界になっていくでしょう。

認知症の人を排除するのではなく、尊厳をもって共生する社会を目指すのが認知症基本法だと思われます。これは総論は賛成できるのですが、各論になるとほぼ不可能のような気がしています。

地球の全生物の起源は1つとは限らない

2024-10-23 10:32:47 | 自然
生命の起源という問題は私が最も興味を持っていることのひとつですが、残念ながら私が生きているうちには明らかになりそうもないと思っています。

生命誕生の条件はまだいろいろな説がありますが、現在の科学をもってすれば、それを再現することは可能で実際色々試みられていると考えられます。しかしまだ人工生命の成功例はなく、まだ見つかっていない非常に稀な偶然のような要素があるのかもしれません。

地球の生命の共通の起源となった生物はルカ(LUCA)と呼ばれていますが、これは全生物の共通祖先という英語の頭文字をとったものです。ルカはおよそ42億年前に生きていたと考えられています。これは現生生物のDNAの情報から推定されたものです。

42億年前の化石は残っていないので、現生生物のDNA情報から推定するしかありません。例えばヒトとチンパンジーとゴリラの進化の道筋、つまり系統樹は以下のようなものと考えられています。

昔は3種すべて同じ種でしたが、まずゴリラが分岐して、その後チンパンジーと人が分岐しました。この様な系統樹を、DNAの情報から推測することを考えてみます。

仮に3者のDNAの塩基配列の違いが、ヒトとチンパンジーで4塩基、ヒトとゴリラで5塩基、チンパンジーとゴリラで5塩基だったとします。すると3種の無根系統樹の様な系統樹が描けます。

さらに外群と呼ばれるさらに古い時期に分岐したと考えられるものを加えていき、系統樹を完成されることになります。この辺は図示してありますがなかなか理解するのが難しい操作のようです。

このような操作を繰り返すことによって、系統樹の中での共通祖先の位置も決まってくるようです。系統樹を描くためにDNAの情報を使う場合、具体的には特定の遺伝子の塩基配列を使うことが多くなります。

つまりそういう系統樹は、正確に言えば種の系統樹ではなく遺伝子の系統樹となります。種の系統樹と遺伝子の系統樹はおおかた一致するだろうと仮定することによって、遺伝子の系統樹を種の系統樹と解釈しているにすぎません。

さて種の系統樹と解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在しません。しかし遺伝子の系統樹として解釈した場合、ルカより古い時代に分岐した外群は存在することになってしまいます。

こういったことから、ルカが生きていた時代より古い時代の生物がいたことになるようです。これは単にルカの定義を変えるだけですが、実際はもう1種類のルカがいないと説明できないことになるようです。

生命の起源を考えると、異なった場所で生命が発生するという偶然が起こるとは考えられませんので、この系統樹から見た生命の起源は怪しいという事になるでしょう。

こういったことも含めてどこかで人工生命を作り出す実験に成功して欲しいものです。

ガンの転移を分かりやすく説明すると

2024-10-22 10:35:29 | 健康・医療
ガンの怖さのひとつに転移と再発があります。私の大学時代の友人が一昨年肺ガンを発症してしまいました。

もう高齢で持病もあるため手術が難しかったのですが、幸いがん専門の大病院だったため、そのガンに特化した抗ガン剤治療を受けていました。ところが昨年同じ肺の別の場所に新たなガンが見つかりました。

当初これは転移ガンとみていたようですが、詳しく調べたところ全く異なるガンの再発ということが分りました。そこで新たな抗ガン剤の臨床試験に加わり治療していましたが、残念ながら昨年10月亡くなってしまいました。

この様に最先端の治療を受けても良くない結果になってしまうのも、ガンの怖いところといえそうです。ここではガンの転移の話ですが、ガン細胞が血管やリンパ管など全身に張り巡らされた管を通って他の臓器に飛んでいく現象です。

移動した先でガンが成長し、新たな塊を作ります。たとえば大腸ガンが肝臓に転移した場合、肝臓ガンが新たにできたと考える患者は多いようです。しかし実際は、大腸ガンが肝臓に転移すると、肝臓にできたガンは大腸ガンの一部と考えます。

もともと私はガンは遺伝子変異による細胞の病気という説に賛成していますので、現在のようにがんの発生臓器によって治療法を決めるというのは反対です。つまり同じ肝臓ガンであっても、AさんとBさんでは異なるはずで、ガンの種類によって治療法を決めるべきと思っています。

ただ詳しいガンの性質を調べるためには、組織検査が必要で通常の病院では難しいことも確かです。さて前述の肝臓ガンですが、元の大腸ガンと同じ特徴を持つガンですので、大腸ガンの治療が効くはずです。

大腸ガンを切除した後、肝転移という形で再発した場合は、肝臓にしかガンがない状態ですが、大腸ガンに特化した抗ガン剤治療を行います。

ついでに薬屋の立場から書きますと、抗ガン剤を開発した場合、いわば無数の種類があるガンの中で比較的胃にできやすいガンに効けば、胃ガンの治療薬として発売します。

現在は分子標的薬など、ガンの種類によって効果がある薬も出ていますが、通常の病院ではほとんど使われていないのが現状です。肝臓から現れるガンを原発性肝ガンとよび、大腸ガンの肝転移である転移性肝ガンとは医学的に区別しています。

実際は転移の有無は非常に難しい問題といえるようです。CTなどの画像検査では数ミリの大きさでないと病変を検出できないためです。

それでも原発ガンに効果のある薬が見つかっていれば、気長にそれで治療するのが、現在では最も確実な治療法といえるのかもしれません。