毎日世界中で色々なことが起こるけど、これには驚かずに
おれん、という話題がたまにある。
今日の場合やと、それはなんちゅうてもジダンの頭突きでしょ、
やっぱり。
彼は素晴らしいプレーヤーではあるけれど、結構キレやすく、
以前にも頭突きをしたり、相手を踏んづけたりして退場にな
った経暦があるらしいので、「頭突き」という危害の加え方
にことさらのように驚くのでは、北朝鮮のミサイルに何度も驚
いているようなもので、驚き方が間違っている。
ではどのように驚くのが正しいのかと言えば、
「何で」したかという理由を知って、それに驚くことである。
では早速正しく驚いてみよう。
俺が考えるに、イタリアにはセリエAでジダンとプレーした選手
がたくさんいるので、イタリアの選手は、「これを言えばジダンは
キレる」という、いわば、"悪魔の言葉"を知っていた。
試合はもう、苦しい苦しい延長戦の後半に入っている。お互
い、どうにかして勝ちたいが決めてがない、どうしよう・・・
そこで「決めて」を思いついたのがイタリアだった。
「ジダンがいなくなれば勝てる。しかも彼を退場に追い込む方
法があるやん」
イタリアはとにかく勝つために、なりふりかまわずその「悪魔の言
葉」を使い、彼を逆上させて退場に追い込むことにしたのであ
る。
チャンスは今だ。味方もそうだが、ジダンも体力・気力共限界
が近く冷静な判断ができないはず。彼を怒らせるには今を逃
してはない。
そして、そのとってもイヤな役回りを命ぜられたのが、マテラッツ
ィ選手。チームメイトはこう思った。ゴールを決めてごきげんな
彼はちょっと悪モンに仕立てあげられてもヘッチャラなはず。コイ
ツなら、このイヤな仕事もやり遂げるはずだと。
そして彼にこう言った。
「ハゲ」って言うたれ。
なんたってごきげんなマテラッツィはチームのため、きちんとそれに
応え、
「お前、後ろから見たらこらまたえげつないハゲやんけ」
とよけいなアレンジまで加え、しかも大阪弁も交えながら言い
切った。
予想通り、さすがのジダンももう体力気力共限界だった。
「ハゲ頭の威力がどんなもんか教えたらぁ、うらぁ」
となるのが、哲学好きなフランス人の中の体力自慢の人がキレ
た時にあるべき姿であり、当然の行動なのである。
かくして、イタリアの作戦は大成功。
これが、「何で」の真実。あー、びっくりした。
でもここで、俺は言いたい。俺ならハゲと言われた瞬間に笑いを
とってみせたよ。世界のスーパースターもハゲの世界ではまだまだ
俺の足元にも及ばんわい。