僕たちは一生子供だ

自分の中の子供は元気に遊んでいるのか知りたくなりました。
タイトルは僕が最も尊敬する友達の言葉です。

泣くのはいつも

2006-07-28 | Weblog

海運業界が大変らしい。
重油価格の高騰はもちろん、取引企業のコストカットのあおりをまともに
受けて、とんでもない悪条件での労働を強いられているそうだ。

こないだのニュースでは、こう言っていた。
1.コストカットのために乗組員を減らさざるを得ない。
2.乗組員が少ないので、当然他の乗組員の労働時間が延びる。
3.仕事確保のため、次の仕事の予定を組んで航海しているので、納期
  を守るため、少々のシケでも運行する。
4.大多数の海運業者は1、2隻しか船を持たない中小業者であるため、
  船が老朽化していても修理に出す時間もなく、また、新しい船に買い
  換える余裕もないため、危険を承知でそのまま運航している。
5.結果、このような悪運行条件が重なって事故が多発する。
6.事故を起こした場合は当然仕事ができず、途方にくれることになる。
とまぁ、それはそれはひどい話や。

これに対して、国土交通省の対応。
乗組員が少ないと事故につながるので、船の規模◇◇の場合は乗組員を
○名以上とすること、という規則を作ったらしい。
その結果、業者側はコストカットのために人を減らしたのに、また人を雇わな
ければいけないという状況になった。当然高い給料を払わなければいけない
ような人は雇えないから、大変な所では、もう引退して船を降りた自分のお
さんを乗組員として採用しているところもある。
このお父さん、年齢が確か80歳前で、しかも最近まで癌を患って治療をし、
退院したところだと言う。しかもそのお父さんは単に乗っているだけではなく、
深夜の舵取りを任されているのだそうだ。
インタビューで、「もう目も悪くなってきたし、休ませて欲しい」と言っておられた
けど、それはホントにできることならそうして欲しいと思った。

まぁ、国土交通省を責めてもしゃなないのかも分からんけど、これはちょいとひ
どすぎるんとちゃうかね。海運業界の方々は、辛い思いをして、ようやく品物
を目的地に届けたと思ったら、経済界のコストカットのあおりという最終荷物
が自分の所に届いたなんてことでは、たまったもんやないわな。

この話は海運業界に限らず、経済の最終工程に位置する物流関係に近け
れば近いほど、似たような苦労があるんやと思う。

前にも少し書いたけど、駐車禁止の取り締まり強化や、今回の海運業界に
対する施策には、そういう人たちの苦労に対する配慮が全くない。とんでもな
い悪玉がたくさんいてアホほど無駄遣いしてるのに、そっちのほうは一向に埒
が開かず、泣くのはいつも同じ人。

さまざまな苦難を乗り越え、長い時間をかけ、長い距離を航海して、やっと
港にたどり着き、やっと生きていけるだけの賃金を手に入れられるという状況
の裏側で、国という港には入港することすら許されない。

万景峰号締め出しは当然だとしても、日本を支える人達の船まで締め出し
てどうするねん。