とにかく、俺は記憶が苦手。学生の頃、アタマは記憶する
ことよりも考えることに使え、という言葉を知ってからは、ま
すますそれに磨きがかかり、もう大物政治家なみの勢いで
何でも忘れるようになった。
今日もそれを裏付ける出来事があった。
会社の用事で封書を出す必要があったので、帰り道に出
そうと、忘れないようカバンの横ポケットに見えるように入れ
ておいた。それが功を奏し、会社をでる時には、これを出さ
なければ、としっかり思い出すことができたのだが・・・
ひとつのハードルをクリアした俺は、会社を出た時に意気
揚々とポストを探しながら歩くことにした。
でもその5秒後、「暑い」と思った瞬間にそれを忘れ、御堂
筋の最速男になることだけを考えていた。
梅田の駅に着き、電車に座った時にふとカバンの横ポケッ
トを見ると、封筒が入っている。「あちゃー、しもた」と思い、
仕方ないので高槻の駅に着いたら出そうと誓った。
でもその5秒後「ああ涼しい」と思った瞬間にそれを忘れ、
となりのおねえさんに、汗ぼたぼたで気持ち悪い人やと思
われてへんやろか、ということだけを考えていた。
家に帰ってみると当然のごとくカバンに封筒が入っている。
もはや尋常ではないよなこの忘却力は。これはもしかする
とアル○ハイ○ーもカバンに入ってるのか?
かなり前、自分たちのライブのポスターに、
「なんでも忘れる人は、いつでも感動できる」
という、中年のお客さんに向けたコピーを書いたことがあった
けど、そうそう感動しなくても、ちゃんと覚えてるほうがよさそ
うな気がしてきましたわ。