アメリカのPCメーカーにD○llというのがある。
新聞等にしょっちゅう広告が出てるし、安いPCとして有名やから知らない人は
いないと思うけど。
特にまとめた台数を購入するともっと安くなるので、企業等での購入も多いらし
く、例にもれずウチの会社もそうだ。
ところがこのD○ll、初期不良というのが結構多いということをよく聞く。ウチの会社
ではたまたまそんなことはなかったけど、こないだ買ったPCにそれがあった。
詳細は割愛するけど、とにかく新品なのに不具合がたくさんあるのだ。
早速D○llのサポートに電話して事情を説明し、出張で直して欲しいというと、
そういう症状であれば、OSの再インストールをしてみてくれという。 知ってる人
は分かると思うけどOSの再インストールは下手すると一日仕事。
「どうして新品に不具合があるのに、ユーザー側がそんな時間をかけて再インス
トールする必要があるわけ?来て直すのが当然でしょう。来られへんねやったら
こっちでプロを雇って直すからその代金を支払ってください。それができないという
のなら、このトラブルのせいで取られてしもた時間の補償も併せて要求します」
と噛み付くと、
「新品であってもそのような作業をまずユーザーにしてもらうということが約款に書
いてあります。」
とクソ丁寧にいう。で、その約款とやらはどこにあってどうやったら見れるワケ?と
尋ねると、なんやかやと7~8回あちこちをクリックしたらようやくでてくる。内容を見
てみると確かにそういうことが書いてあるようだ。
「おたくは何ですか、こんな聞かなあかんようなややこしい操作が必要になる約
款を読んでから契約しろとおっしゃってるワケ?」
とかなりイライラしながらもう一回噛み付くと、「さようでございます」と涼しい声。
とにかく約款に書いてある以上、そこに書いてあることから逸脱することは絶対に
しない、という意思がはっきりと感じられる対応だった。
そうである以上こっちもその穴を突くべく、一度電話を切って、社の海外経験が
豊富で、トラブルにめっぽう強いと評判の上司にかくかくしかじか、こんな時はど
のように対応すればこっちの言い分を通せますか、と尋ねると返ってきた答えは、
「約款に書いてある、と言われればどうしようもない。アメリカの契約社会とはそ
ういうものだ」ということだった。気に食わなければ裁判を起こすしかなく、しかも
勝ち目はないらしい。
日本人にはにわかに理解し難いこの対応やけど、とにかくどうしようもないという
ことははっきりした。"そのかわり"安いと割り切って不良品に当たったらツイてなか
ったとあきらめるしかないみたいである。
まぁ、それでも価格面で圧倒的に安いので、次にPCの入れ替えの必要が生じ
れば、会社ではまたD○llを買うことになるやろうと思う。
まったく、D○llの狙い通りにことが運ぶのがけったくそ悪くて仕方ないけど、次は
同じテツを踏まないように、"当てもん"やと思って何もなかったらラッキーで、不具
合があっても当たり前と構えておくしかなさそうだ。
ところで、D○llの技術サポート、営業の人の対応は完全にマニュアル化されて
いて、技術サポートの人は二言目には再インストール、営業の人は約款に書
いてあります。と言う。失礼だがこれを言っておけばいいのなら大してアタマ使わ
なくてもできる仕事やなと思った。
日本人、特に大阪人は物事の白黒をはっきりさせるのを嫌い、あいまいな所で
あとは推して知るべし、を美徳とする。それはもちろん一長一短だが、少なくとも
あいまいには、はっきりにない広がりがある。
アメリカは好きな国だが、国土の割に広がりのない国だなと思った。