二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

これから増えそうなのが、胴の割れ。

2023-12-26 09:55:26 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
胴割れの修理は今までになく多かったです。
20台越え!

特に、老紅木、意外と少ないのが黒檀です。
紫檀も新しい小葉紫檀は全くなかったですね。(古い皮張替えの物は別にして)
確かに、小葉紫檀はいままでも殆ど無かったように記憶しています。
一つの理由として、小葉紫檀の二胡の材料は、古い家具あるいは柱などからとられることも多かったからかもしれませんし、最近作られているものでも、インドからの密輸が無くなり、日本にあった、三味線屋さんが持っていた古い材料が中国に流れているからかもしれません。
ただ、三味線の棹は二胡より短く、どうしても長さが足りずに胴の中で縦につなげるようにしてあるものがあったりしました。
お陰で、胴の内部で棹が折れていたなどというのもあります。
又中国の熱心な二胡造りさんは、その足りない分を三味線の3本接ぎの技術で補おうと研究していたみたいですが、今のところ上手くいっていないようです。
それはともかく、胴の割れは時間経過とともに出てくるものです。
昔の二胡は胴の板の接着が膠で接着されています。
ヴァイオリンなども全て接着は膠で行われます。
現在でも。
それは、ヴァイオリンを構成する70ヶ近い部品が動いた時にしっかりしたボンドだと木の方が割れてしまうのを防ぐためと言われています。
???? これはかなり疑問点の多い解説なのですが、それはまたいずれの機会に。
膠は接着剤としては現在の物より強くはないです。
かといって昔は接着剤として膠きりなかったのかというとそうではありません。ソクイ(もち米)やフノリなどもあります。
最強力なのは漆でしょう。
多分現在でもその接着するものが木材だとすると漆が一番強いです。
どんな環境にさらされても、例えば地面の中あるいは水の中に置いておいたとしても剥がれないのが漆です。
金属もつきますし、陶器もつきます。金接ぎなどはその一例でしょうね。
膠もそれほど高温にもならず湿度もひどくなければそこそこはもちますが、木が動いたりすると接着しきれなくなります。
そこで、二胡の胴割れが起きます。
老紅木はそれがどんな種類のものであれ、紫檀などに比べると動きます。収縮するといっても良いです。
胴を構成する6枚の木が均一に収縮してくれるのでしたら比較的弱い接着力でも保つのですが、一枚一枚違う力を持つ木だとしたらバラバラに動きますからはがれやすいのです。
長く乾燥した木は動きが少なくなります。
最近の老紅木は、ここ15年くらい前から見るオバンコールが多いようです。
二胡に使う木としてはかなり新しいといえるでしょう。
そのためか、今年はオバンコールの老紅木の胴割れの修理が6台もきています。それ以外はカリマンタンエボニー(黒檀。烏木)チンチャン(手違い紫檀)本紫檀。
皮を張り替えるために工房に来た紫檀の内20年以上前の小葉紫檀が3台やはり胴が割れていました。
胴が割れるといってもそのほとんどは接着部分のはがれで、これは時間がたてばどんな二胡にも表れてくるものです。
ですからこれから益々皆さんの二胡にもその傾向が出てくるはずです。
でも比較的簡単に直ります。
但し以前使われていた膠をしっかりとらないと綺麗には直りません。
二胡の頭の破損などと違います。これは、プロに直してもらってください。決してご自身でやろうとしないでください。光舜堂だけではなく三味線屋さんでも直せますから。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ
インフルエンザが流行っています、ネオちゃんも昨日から休みになりました。
皆さんもコロナだけでなく気を付けてください。
爺の私も、そろそろ気を付けないといけないですね。なにしろネオちゃんと毎日一緒でしたから。


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