二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

超マニアック話です。鉄について

2010-07-21 10:59:11 | ■工房便り 総合 
現代は、鉄の時代と言われます。

そう言われるのは、20世紀に入って、安定した鋼材が供給されるようになってからです。

それまでは、世界中、鉄というのは、非常にバラつきのある製品で、

熟練された、製鉄職人が、鉄を作り出すか、

製品を作る、鍛冶屋が、製品を作る際に、手作りで製鉄をしていたのです。

蒸気機関が発明されたのも、ある程度の製鉄技術が出来上がったからこそです。

鉄は、1530度が融点です。

それ以下ですと、半融けの状態で、流れはしますが、完全に溶けている状態ではありません。

完全に溶かして、鉄鉱石の中に含まれている不純物、燐や銅、あるいは酸化鉄などを取り除かない限り、鉄にはなりにくいのです。

みなさんも御存じのように、鉄は、変化しやすいものです。

特に空気中の酸素等と化合しやすいのです。

鉄の原子の中の、陽子と電子の数がバランスが悪く、物質の基本要素である、安定した方向に向かおうとする性質から、他の原子と結びつきやすいのです。

唯鉄の性質として、加熱しているものを、一気に冷やすと、急激に結晶化が進み硬くなります。

結晶というのは、分子がそれ以上変化せずに動かなくなる状態です。

氷は、水の結晶化したものです。

その硬くなる性質を利用して、様々な硬さの鋼が出来上がります。

二胡に使う弦は、ニッケルクロームを含む鉄で出来た、鋼ということが出来ます。

太い鉄は直ぐ温まり、直ぐ冷めます。

通常鉄をかたい、焼き入れをするためには、800度ぐらいに熱して、

その後直ぐ、油鳴り水に漬け込みます。その温度差が大きいほど硬くなりますし、

また鉄の中に含まれている、炭素の量が0、025%をこえるものは、鋼と呼ばれ、

硬くなりやすいのです。

この二つの要素によって、鉄は、弾力がありなおかつ、hものに出来るほどの硬さのある

鋼、になります。

二胡の弦もそれこそピアノの弦も、硬さの程度は違いますが、鋼でできています。

ニッケルとクロウムを含んだ鉄は、ステンレスと呼ばれます。

あの光った艶のある状態が、既に酸化、錆びた状態なのです。

柔らかめの、二胡の弦は、錆びにくいものですし、いわゆる鉄の赤錆というのは出来ません。

よく弦に鉄の赤錆が浮いているという人もいますが、殆どの場合、

空気中の鉄を、静電気が弦に付着させたものですから、布地でふいたりすれば、直ぐ取れます。

その後は残りますが、赤くはなりません。鉄が錆びた時には、表面を拭いたぐらいでは、その赤錆は取りきれません。

二胡に使う弦の鉄の、話でした。
これ以上、マニアックな話は、

私の書いた「空の高さ」という本に書いてあります。

読んでみてください。

マニアック話でした、

また、懲りない方の為に、今度は、原子の話しを書きますね。

西野和宏


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