二胡の音色で特徴的なのは、紫檀の音色、黒檀の音色。老紅木の音色など様々あります。
しかしその他にも音色と言ったときに皆さんが弾いてみて、色々違う感想が出て来ます。
先日弦堂さんが、呂建華さんの縞黒檀に私がCDMを張ったものを弾きにいらした時、たまたまあるお客さまが西野二胡の花窓の修理で(西野二胡の花窓は金糸と銀糸で作られていて引っかけると取れることもあります)工房に送られて来たのを弾いてもらったのです。
折角だからと全体をきれいに磨き上げまるで新品の様にしておいたのです。
しかし驚いたのは、「これはずいぶん上手な人が弾きこんでいた楽器ですね!二胡の良い音色になっています」
それを聞いたネオちゃんと私は絶句!!!!
「なんでわかるのですか????」
「上手く弾き込んできた二胡はこういう音がするのですよ」と弦堂さん
この耳の良さ、流石にと驚きました。
しかし、この同じ楽器を、先週末には他の方が試しに弾いて、「もっとカチッとした音色の方が好き!」ともおっしゃっていたのですが。
この方は、先生をされている方で、ご自身の楽器の蛇皮の張替えにいらしたのです。
まだ8年くらいきり弾いていない二胡です。
私などは、流石に良く弾きこまれていて良い音色だなと感じたのです、なんで折角の音色が出ているのにとも思いましたが、その方はもっと蛇皮のバリバリ弾けるような感覚が欲しいと、トロっと甘い音色よりは雑味を含んだ昔の二胡の様な音が良いとのことでした。
今これだけ湿気が多いと蛇皮は張りにくいのですが、危険を承知で引き受けました。
これだけ湿気が多いとバリッと乾くときが無いのです。
工房自体が完全密閉された24時間空調エアコン空間ではありませんので、蛇皮の張り具合が分からないのです。あまりにも張りすぎて、この湿気の時期が終わると、キンキンに張られていることも多いのです。
でもこの方にはその方が向いているかもと、あえてこの時期に張ってみることにしました。
また音色といえば、「どうも内弦と外弦の音色が同じではない何となく不満なのだという方も多いです。
これ、かなり高名な二胡作家の方の作ったものに多く、第一楽器やそのほか著名な大手の楽器にはないのです。
それは、木軸と木軸の間が74ミリ以下になっています。あるいは反対に74ミリ以上になっているものも多いようです。稀にはどちらか一方の木軸が斜めっていたりもしますが、、、
そうすると、普通に調弦すると、どちらかが緩い感じになります。
弾き方も現在主流の弾き方ですとその弦の緩さの違いがなんだか違和感に感じてしまいますが、昔の弾き方ですと、これ何とも音色違いに感じられて良いのです。
このような楽器に私などの好きなピラストロなど張ると一気に違いだけが目立ってしまいます。緩い方の弦の音だけが大きく響く感じですが、中国弦の古いタイプ、どちらかというとかなり安い弦を張ると、違和感なくその音色違いが楽しめたりします。
例えば、外弦の開放弦の音と内弦のAの音の違いをあえて使うような演奏などその音の質の違いがはっきり表れてきます。
ですからこのおような楽器は古い江南の曲などその二胡の質に合わせた曲を弾くには向いているでしょうね。
最近ではこういう木軸の位置の違いのある楽器というのは少なくなってきていますね。東洋のヴァイオリンを目指してきたからでしょう。
でも、いまだに二胡は内弦外弦の音色違いを楽しむ楽器もあるのですね。
ですからでしょうか、木軸そのものは74ミリと内外同じ質になるように設計された音を嫌い、敢えて弦の巻く位置を内弦だけ棹に近づけ、外弦がたっぷりなる調整を好む人もいるようです。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ