二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

花窓の役割。内弦の雑音。

2021-07-12 11:10:46 | ●二胡の修理
このことは経験した範囲内でしかないので、100%とは言えませんが、

内弦(Ⅾ弦)に雑音の出る楽器というのがあります。

色々やってみた結果、原因が二つあるようなのです。

一つは花窓のあたりの木が薄いもの。

薄いと言ってもそれが何ミリというより、その楽器の木部のそれぞれのバランスとしてです。

案外多いのが、この雑音花窓がしっかりと入り込んでいないものに、この雑音が多いということは言えます。

しっかりと入っているということはそのあたりの振動が安定するということになると思います。

花窓が簡単に外れてしまうものなどは、案外この内弦の雑音が多いのです特に開放弦。

なんだか変な振動がして安定した音になりません。

花窓を削りなおして、ぎゅっと胴の後ろに入れ込むと、安定した音に回復します。この時はボンドで止めておかなくとも正確に形が出来上がって胴の内側に密着していれば問題はなくなります。

では花窓が付いていないと全ての楽器が内弦が雑音が出るかというとそうでもないのです。

特に最近の楽器は、問題がないものが多いです。

この花窓がうまく胴の内側に密着していなくて、雑音の出る楽器は音の大きな楽器に多いのです。

皮が新しいうちには問題がなくとも、弾き込んでいくうちに振動が大きくなり、良く鳴り始めたなと思う頃この内弦の雑音の問題が出てくるものもあります。

それらを調べていると花窓がゆるゆるしていたり、外れやすかったりします。

最近の二胡の花窓はかなりしっかりボンドで固定しているものが多いですが、昔の物は(多分15年からそれ以前)花窓が簡単に外れるくらいに軽くボンドで固定してあったり、あるいは手で押し込んだだけで密着するくらいにきれいに作られているものも多かったのです。

花窓がしっかり入っていることにより雑音が無くなると同時に、音がきれいに響くようになります。

中には、音が大きく聞こえてくるものもあります。

ところが花窓が無くても、綺麗に聞こえる楽器もありますし、音も十分大きくなります。

ですから以前は花窓があることによって内部に音が響き音が大きくなると言われていました。

が、すべてではないのです。西野二胡にはいわゆる板で作られた花窓はありません。しかし十分大きく鳴りますし、試しに
板で作った花窓を付けても音の大きさに変化はなくむしろ、音がこもった感じになってしまいます。

花窓が付くと、音が大きくはならずとも、音が明快になるということはあります。一つ一つの音が、明快に響くようになるのです。

この楽器がそうでした。

花窓がなく、新たに購入したのだそうです。(弦堂さんで販売しています)

これをこのように切ります。




少し大きめに切っておいて、削り込みながら形に合わせていきます。

これは黒檀で作られていますから、かなり硬いです、これを手の糸鋸で切っていたら一日くらいかかってしまうでしょう。(やらないですが)でも一日かかったら一日分の費用をいただくというのもおかしなものです。

こういう時にこそ、木工の機械や道具が必要になります。そういう意味でも二胡の修理調整には、木工の仕事場が必要なのだと私は考えています。
二胡の音の調整の一つの問題は、すべての事が千斤の巻きなおしと、駒の交換でできるわけではないという事なのです。

木軸の削り、頭の直し、台の不具合の直し、これらが音の調整にすべて関わってきます。

またこの花窓の問題にしろ、作ってみて取り付ける。取り付け方も様々試してみてという事が出来ないと、楽器の調整というのはできないのだと、つくづく思いました。




Comment    この記事についてブログを書く
« 8角形のデンペンは! | TOP | これは是非まもってください。 »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ●二胡の修理