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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

本より抜粋

2012-02-08 10:16:15 | ☆店主の鞄持日記 ほぉ舜堂
先日数十年ぶりに小説を読みました。

(普段はビジネス書が大好きです。
なぜ小説を読まないできたかと言うと、
小説は、入り込んでしまい、奥まで迷い込み、
その世界に逝ってしまって還って来れなくなる、危険な性格だからです)

で、数十年ぶりに手に取った本、
『パリ左岸のピアノ工房』。
素敵な中古のピアノが集まる工房にまつわる物語です。

5分の一ほど読んだところで、こんな文章がありました。

『 狭い通路をすり抜けていくと、奥にリュックが作業するスペースができていた。散らかったものを片付けて、まんなかにピアノを置き、椅子を置くスペースが空けてある。十メートル離れたところからでも、大屋根がめずらしい木でできているのはあきらかで、わたしはリュックが<特別>と呼んだものを見ようと足を急がせた。そこに、天窓から降りそそぐ光のなかに置かれていたのは、まさに驚くべきものだった。ケースはいままでわたしが見たどんなケースとも似ていなかった。深い赤みがかったブラウンに不規則な黒の縞が入っており、木の内側から浮き出している―ほとんど虹色にちかい―燃えるような光沢がその縞模様のコントラストを際立たせていた。側板のカーヴはじつに官能的で、長いうねるような流動感が木の豪華さを引き立て、支え棒で斜めに支えられている堅固な大屋根は、内側からきらめく輝きをはなっているかのようだった。周囲をゆっくり歩きながら見ていると、金属フレームの金色の塗装が木部の金色がかった色調に絶妙に調和しているのがわかった。木部はじつに驚くべきもので、一見シマウマのような縞模様に見えるのだが、じっと見つめていると、じつはそこには微妙に異なるさまざまな濃淡の―考えられるかぎりありとあらゆる―色調の赤やオレンジや黄色や茶色が含まれていて、そのすべてが溶け合って深みのある黒い縞模様をつくりだしているのがわかってくる。その色彩のなかに手を突っ込んで、ぐるぐるかきまわすことができそうな気さえするのだった。正面にまわると、鍵盤のふたに精巧なロゴがあり、<スタインウェイ&サンズ、ニューヨーク・アンド・ハンブルク、パテント・グランド>と記されていた。わたしがその驚異に見とれていると、ゆっくり近づいてきたリュックがささやいた。「これはふたつとない傑作だ。ほんとうのピアノ、本物の芸術品だ」 』



この木!!

絶対にブラジリアンローズ!!


この表現で表される樹種は、絶対あれしかない!
そう思って次のページまで読み進むと、やはり、でした。

削りたて直後はド派手な、昔のイタリア人のスーツみたいな木目のこの樹種も、
中古として工房に修理に出される頃には、こんなにも美しい表現で描かれるのですね。


久しぶりの物語の中で、
偶然、旧友にばったり出会ったような不思議な感覚。。。


ウチの、ド派手な胡たちの数年後の姿が ますます楽しみになりました。
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1 Comments

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いや、 (ぢみ)
2012-02-11 15:21:43
ブライアンローズに違いない!
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