手賀沼アララギ短歌会

千葉県我孫子市で開催している短歌会のブログです。一緒に短歌を楽しみませんか。

20年前から原発を危惧する歌

2011年08月13日 | トピックス
福島第一原発の事故に関して、20年以上前からその危険性を訴えてきた歌人がいます。
新アララギ本誌2011年7月号に福島県の今野金哉さんが投稿した記事を紹介します。

・農などは継がずともよし原発事故続くこの町去れと子に言ふ
 この一首は、本誌会員(前福島県歌人会長、現顧問)の佐藤祐禎氏の第一歌集『青白き光』(平成十六年刊)の中にある作品である。
 同集には、福島第一・第二原発十基が連なり「原発銀座」と呼ばれる大熊町(福島県相馬郡)に生まれ、「ここで死ななければならない」(本人の言)という同氏の、叫びの歌・真実の怒りの歌が多数収録されている。
(中略)
 さらに、同氏が『青白き光』に載せ得なかった歌をまとめた第二歌集『残滴集』にも、原発事故を危惧する多くの歌が収録されている。同集は私家版として数十冊しか出版されていないため、ほとんどの方は目にしていないものと思われるので何首かを紹介する。
・原発の梨はいらぬと戻されき一箱なれど暗し予感は
・放射能、地球温暖化、いづれ取ると原発擁護の君は言ひつのる
・三十年、四十年ともいふ寿命原子炉の廃炉断ずるはいつ
・政治献金いかほどせしや三号炉の健全性評価たはやすく出づ
・原発の事故の後こそチャンスとぞ地区の鎮守の寄付金貰はむといふ
・原発の補償尽きしか豪邸の漁師は陸に鉄筋担ぐ
・原発の防災訓練のテレビ見て逃げても無駄といふ声多し
・原発事故は十万年に一度といふ科技庁白書信ぜよといふか
・貧乏になったから原発作れといふこの短絡は町滅ぼさむ
・展望台に見放くる六基の原発のいと平穏にいまは見ゆれど
(中略)
 現在、福島県浜通りに住んでいた多くの本誌会員が、産土の地から遠い場所において、想像を絶する避難生活を強いられている。我々は短歌という表現手段を以て現実を詠み、その真実を吐露していくしかあるまい・・・・。(四月十日記)

佐藤祐禎氏の歌集『青白き光』は絶版であり、手に入れることはなかなか叶いません。重大な原発事故が起こってしまった今、もっともっと多くの人に読んでもらいたい歌集だと思います。

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