7月16日

2007-07-16 00:09:39 | Weblog

    ( しじみ蝶 )


       夏蝶狂ほし修司句集かな


不思議なもので、夏の蝶ことに黒揚羽を見ると
寺山修司を思い出す、忌日は5月だったと思う
もう彼が没してから20年も経っているのに、それほど
彼の俳句にふれた覚えもないのに


手元に一冊の修司の句集「花粉航海」がある
青森の高校時代15歳~18歳までを昭和50年に編纂した
ものだが、その才能は中学時代から学級新聞というメディアを
通じて自己表現をおこなっていた、ガリ版刷りの新聞には
小説、詩、短歌、俳句が発表されてたという


   
       十五歳抱かれて花粉吹き散らす
       チェホフ忌頬髭おしつけ籠桃抱き


       流すべき流灯われの胸照らす
       朝の麦踏むものすべて地上とし


       暗室より水の音する母の情事
       癌すすむ父や銅版画の寺院


       母恋し鍛冶屋にあかき鉄仮面
       大落暉わが愚者の船まなうらに


       便所より青空見えて啄木忌
       わが夏帽どこまで転べども故郷


巻末に「今こうして思うと顔赤らむ思い、句のわかれも
すみやかに果たしてしまいたい 何もかも捨ててしまい
たい 書くことによって 読むことによって」とある


私にとって三輪明宏、三島由紀夫、寺山修司は蝶のように
ことに夏蝶のように思われてならない
   
       

 

 


 

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