芋煮句会 その2

2005-11-06 10:16:02 | Weblog
    いささか寒い朝となる

 句会の昂ぶりの消えぬうちに逆選などかいておこうと思う。

 腕組みを解かぬ菊師の腰手拭
 どなたかの講評にも有ったが腕,腰と言うのが気になるが、同じ使うなら
 *腕組みを解かぬ菊師のしたり顔 などにすればどうだろう。

 べったら漬け緋の布に置く蔵の街
 作者には申し上げたが,三段切れにもとれる。
 倒置はたいせつな推敲作業で、欠かせないもの。
 *緋の布に売るべったらや蔵の町  ではどうか。
 倒置によって「置く」が不自然になり「売る」という具象になる。

 納豆をひやつかい混ぜてそぞろ寒
 納豆とそぞろ寒の取り合せは作者の豊かな感性をうかがわせる。
 どうも「ひやつかい」が気がかりでならない。
 気を引く句ではあるが。
 *納豆の糸引く箸やそぞろ寒  
 *納豆の糸のもつれやそぞろ寒 など等、眼目が良いだけに展開がある。
 やや寒→皮膚感覚に依存する
 うそ寒→心理的感覚に依存する
 そぞろ寒→両方の感覚も可
 

 秋晴れや白無垢乗せし人力車
 作者の意図はきっと色にあったと思うが、せっかくの句に人が見当たらない。
 *秋晴れや花嫁のせて人力車  で充分、色も動きも見えてくるのでは?

 「菊」という兼題でもっとも注意を払わなければならないと思うのは、
 日本人特有の「情緒に偏る」事、できれば神祇釈教,病態無常には近づかない
 ほうが良いと思う。しかし弔句のように事実は詠うべきもので、
 *父の忌のまつたき空や野紺菊 は成功例で時空がそれを解決している。

 逆選句は当然、選句されるべき佳句の眼目を持ち合わせている。
 許される時間も有り,昇華しきれないのはもったいない。
 逆選以下という厳しいものもあるが、それも俳句かもしれない。


       ころころの今日の俳句

     
         猫舌も味見してゐる芋煮かな

       ころころの独り言

   いろいろな句会を経験して,私たちの句会のレベルの高さを感じる
   逆選もしかり、信頼関係にある人の集まりだからこそ出来るもの。
   闇鍋も怖くない・・・


       ころころの今日の俳句


       芋を剥く裏口遠く波を見て   桂信子     
       
 

 

 
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5 コメント

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腕組み (なぎさ)
2005-11-06 23:40:20
昨日はお世話さまでした。



今や私たちの句会はころころさんなしでは成り立たなくなって来てしまいました。

いつもお世話方ありがとうございます。



自分の無知や勉強不足を安心して出せる句座はめったにありません。

その意味でこの句会は大切な勉強の場です。



ところで拙句の「腕組みを・・」の句を昨日推敲し直しました。



お薦めの「したり顔」ですと私の意図したものと違ってしまう様です。



腕組みを解かぬ菊師は自分の作品に今ひとつ納得が行ってないのです。

完璧を目指す彼は例えば花の色とか形に不満足で腕組みをしているのです。



ここはやはりあのささんのお薦めの様に「日の暮れる」とか「夕暮れぬ」とかでさらりと流した方が良いかなぁ、と、、。



芋煮で満腹のお腹をさすりながら考えました。





腕組みを解かぬ菊師に風立ちぬ

夕風に腕組み解かぬ菊師かな



とか??
返信する
ふむふむ (ころころ)
2005-11-07 00:54:02
こちらこそ、ありがとうございました。

私が好きでやっている事に苦労など感じません。

どうぞ、気を使われませんように・・



私たちの句会の場合、互選は互先生の事,大いに提案しあいましょう。



まず句の成り立ち(姿)ですが、

腕組みを→解かぬ菊師の→○○○ という形には

○○○に向かって焦点を当てていゆく効果があります。

例えば

A)腕組みを<解かぬ菊師の<したり顔

等のように「したり顔」に向かってゆく効果です。

B)腕組みを<解かぬ菊師に<風立ちぬ

この場合「風たちぬ」に焦点が当たります。

この効果は抜群なのですが季語が中七にあると季語の効果

が薄れる欠点もあります。

C)夕風に<腕組み解かぬ=菊師かな

このバランスにあると形が安定します。

切れ字の効果もあります。が、少々古臭い感じもします。

今のプロ俳人はあえて形を崩して見せるような気がします。



腕組みを解かぬ菊師に風立ちぬ

夕風に腕組み解かぬ菊師かな



いずれのお句も推敲され,仕上がりました。

あとは好みの問題だとおもいます。



もしなぎささんの句意を重視すれば、

腕組をなかなか解かぬ菊師かな  なんでしょうね。



私の句もどうぞ遠慮なく逆選に揚げてください。

お互いに頑張りましょう。





返信する
腕組をなかなか解かぬ菊師かな   (なぎさ)
2005-11-07 12:31:33
腕組をなかなか解かぬ菊師かな  



これですね。

私の言いたかったことです。



腕組みを解かぬ菊師 が言いたいことのすべてで

「夕風に」も「風立ちぬ」も極端に言えば不要なのです。



とってつけたような印象があるのはやはり不要な語だからでしょう。



解かないを強調する「なかなか」を思いつかなかったのは残念です。





いただきます。
返信する
ここが面白いところです (ころころ)
2005-11-10 00:02:42
ではこれではどうでしょう?
返信する
あれ、途切れちゃった。 (ころころ)
2005-11-10 00:15:33
続き・・・



 腕組みをなかなか解けぬ菊師かな



 これはまさに作為溢れる作品になってしまいますよね。

 たった一字違いでこうも変わります。

 解けぬといった理由を作者が意図的に隠していると

 思われるふしが見えてます。



 1)開け放ち  

 2)開け放つ

 

 これはある句の中七です。

 1)には開け放つ自分とそれを見ている自分が存在

 します。そして2)より時間が過去になります。

 2)には詠者の動きが見えますね。そして今を詠んで

 います。



 ただ、1)には小さな切れがあり、それを活かすことは

 あります。しかし添削者は2)を選びます。



 たった一字の面白さです。
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