3月 22日

2019-03-21 16:51:26 | Weblog
             馬酔木の花・花馬酔木・あせび・あせみ・あせぼ




     万燈を待つ間手ぐさに房馬酔木         細見綾子




     花馬酔木顔より昏るる念怒仏          栗田やすし




     継ぐ人の絶えし旅籠や花馬酔木         小澤明子




     大寺の畳廊下や花馬酔木            高橋ミツエ




     山門をくぐる馬酔木の花にふれ         笹邊基子




     花あせび蓑虫庵の縁先に            小田和子




     花あしび池ささ濁る直也の居          井沢陽子




     舞姫の歌碑に木洩れ日花馬酔木         上田博子


     ☆ 酔木は有毒植物の一種で牛馬が食べると痺れて酔ったようになるのでこの名前に
       なったということです。写真は自生のものでピンクの馬酔木は園芸品種です



       


     中尊寺道白珠の馬酔木咲く           秋元不死男


     月よりもくらきともしび花馬酔木        山口青邨


     つくばへる石より低く花馬酔木         富安風生   
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3月 21日

2019-03-20 12:53:43 | Weblog
                 初桜・初花




     咲かんとす葉のうすみどりなる桜        細見綾子




     肩かるく叩く励まし初ざくら          河原地英武




     降り出しの雨に色濃し初桜           下里美恵子




     三味の音にさくらほつほつ野文楽        都合ナルミ




     初桜やはき日差しの宮詣り           橋本紀子




     初桜皿に浮かせて供華とせり          上杉美保子




     初花やコップ酒置く父の墓           雨宮民子




     婚の荷の発ちて桜のほころびぬ         清原貞子




     スカイツリー見上ぐる空や花三分        武藤光晴




     初桜米寿となりし姉見舞ふ           上田博子




          



     一花よりみなぎる力初桜             稲畑汀子


     あけぼのの薄紙いろに初桜            千々松洵子


     初桜蕾したがへ楚々として            佐藤 ともえ


     いちにちのはじまる冷えの初桜          岡本眸


     年経たる樹のしづけさの初桜           鷲谷七菜子

     
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3月 20日

2019-03-19 13:17:54 | Weblog
                  連翹・いたちぐさ




     連翹や焼杭を打つ宇治の院           沢木欣一




     連翹が色めきわたり明日を待つ          細見綾子




     連翹や一日富士の裾かすむ            栗田やすし




     連翹を戸口に峡の一戸かな            夏目隆夫




     咲きみちて連翹の枝地を這へり          佐藤きぬ




     連翹や富士を遠くに一里塚            小田二三枝




     連翹を四囲に咲かせて検問所           中山ユキ




     咲き満ちて連翹風に逆らはず           伊藤旅遊




     連翹の道分け入つて水車小屋           角田勝代




     図書館の窓連翹の花明かり            谷口千賀子




          



     連翹や蛭ケ小島は石ばかり             林 徹


     雨の中連翹の黄の流れだす             長谷川 櫂

     
     童画展連翹の黄がここに撥ね            福永耕二


     いかるがの暮色連翹のみ昏れず           和田悟朗
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3月 19日

2019-03-18 12:47:53 | Weblog
              彼岸・彼岸入り・彼岸寺・讃仏会




     ぜんまいをねんごろに煮て彼岸入        細見綾子




     父母の墓訪はず過ぎたる彼岸かな        栗田やすし




     彼岸会の女三人寄席に入る           片山浮葉




     歌麿の春画積まれて彼岸寺           岸本典子




     大屋根に雀の遊ぶ讃仏会            谷口千賀子




     彼岸寒旅の荷を解く青畳            武田稜子




     彼岸寺バケツで集むお賽銭           小栁津民子




     秘仏見に彼岸の廊下軋ませて          鈴木真理子




     身の丈を超ゆる地獄絵彼岸講          辻江けい




     彼岸会の庫裏に白緒の下駄並ぶ         相澤勝子




     帰るたび母小さくなる彼岸かな         関根切子




     うらがへる高き法螺の音彼岸寒         中斎ゆうこ




     ☆ 浄土教(浄土思想)の考えから真東から上がる太陽が真西に
       沈む日を彼岸の中日に据えた前三日後三日を彼岸の期間であり
       その中日を春分・秋分の日となしています
       入日を真西(西方浄土)に拝み先祖の供養と自分の極楽浄土への
       到達を願う日と考えられます
       仏教国は多く有りますが彼岸の考え、法要は日本独自のようです

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3月 18日

2019-03-17 15:21:23 | Weblog
                  竹の秋・竹の秋風・竹秋




     有松の町裏竹の秋ひそと           細見綾子




     竹秋や女人くぐりし低き門          栗田やすし




     美術館窓百号の竹の秋            小長哲郎




     竹秋や耳元に振る嵯峨土鈴          都合ナルミ




     御手洗を囲ふ舟板竹の秋           鈴木みや子




     雨音にしづもる窯場竹の秋          伊藤範子




     一草庵背戸に広ごる竹の秋          豊田紀久子




     門柱に残る校名竹の秋            栗生晴夫




     立て膝のねねの座像や竹の秋         今井和子




     集落に残る環濠竹の秋            安藤幸子




     竹の秋雨にけぶれる奥嵯峨野         鈴木 文
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3月 17日

2019-03-16 15:39:46 | Weblog
             辛夷・幣辛夷・姫辛夷・やまあららぎ・田打桜・四手こぶし




     雨上がりたる本陣の花辛夷           栗田やすし




     青天のこぶしはじめは光なり          細見綾子




     紬織る手機の音や花こぶし           小島千鶴




     天竜を見下ろす古刹花辛夷           多々良和世




     木曽馬の瞳に映る花こぶし           下山幸重




     牛臭き風にほぐるる幣こぶし          上杉美保子




     行商の乗り継ぐ駅や花こぶし          八尋樹炎




     雲晴れて富士山麓のしでこぶし         小田二三枝




     鍵の手の残る宿場や花辛夷           奥山ひろみ




     天険に統合校舎辛夷咲く            神尾朴水




     花こぶし咲き満雨の寒山寺           松本恵子







    ☆ 和名「辛夷」は中国ではもくれんの事を言うようです
      辛夷はモクレン科モクレン属の植物ですから当然なのでしょう
      遠目で見てはすぐには分かりずらい辛夷と白木蓮ですが
      木の高さが5メーターを越していればほぼ辛夷だと思います
      辛夷は花びらの6枚 幣辛夷は9~30枚といろいろで
      “シデコブシ”という名前は、花の咲いた姿がひらひらとする、
      しめ縄などに付ける四手(幣)というお飾りに似ているところから付いた名前です


     



      幣(しで)辛夷




     風摶つや辛夷もろとも雑木山           石田波郷


     いつの間に風冷えて来し辛夷かな         星野立子


     辛夷咲き空の奥なる風の音            長谷川櫂


     夢の世と思ひてゐしが辛夷咲く          能村登四郎

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3月 16日

2019-03-15 14:44:25 | Weblog
               卒業・卒業期・卒業子・卒業生




     外套の裾ほころびて卒業す          栗田やすし




     卒業の金髪少女日本の名           沢木欣一




     花束に落とす涙や卒業日           河原地英武




     父に似る鼻筋凛と卒業す           磯田なつえ




     卒業歌をとめらの帯胸高に          三井あきを




     記念樹の細きを植ゑて卒業す         小栁津民子




     雲流る卒業証書筒に古り           小長哲郎




     卒業の袴を濡らす子糠雨           三田誠子




     土砂降りの雨に沈めり卒業歌         小原米子




     オルガンは昔のままよ卒業す         渋谷さと江




     卒業式体育教師大泣きす           服部達哉




    
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3月 15日

2019-03-14 15:14:33 | Weblog
                木蓮・紫木蓮・白木蓮


     一般的には木蓮と詠めば紫木蓮と解釈するようです
     多くの種類があるようですが花が咲き始めると葉が出て
     花と葉と一度に鑑賞する楽しみがあります 原産地は中国


     木蓮のため無傷なる空となる          細見綾子




     伊豆晴れて白木蓮に雨しずく          栗田やすし




     紫木蓮家具工房の窓越しに           夏目悦江




     白木蓮の万の明かりへ野良着干す        磯田なつえ




     ひとひらを朝日へほぐし紫木蓮         伊藤範子




     白木蓮昏れて當麻に水の音           山本光江




     紫木蓮吉祥天に開き初む            中川幸子




     はくれんや咲き揃ふ間にさび兆す        横井美音




     紫木蓮ほぐるる女身仏の前           小島千鶴




     白木蓮散つてしまひし空の青          松本恵子






          



     戒名は真砂女でよろし紫木蓮           鈴木真砂女


     木蓮の風のなげきはたゞ高く           中村草田男


     木蓮の散る日答を待たれをり           津田清子


     うら返るほどに咲きみち紫木蓮          金城千代




          
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3月 14日

2019-03-13 15:51:44 | Weblog
               ミモザの花・花ミモザ(ぎんようアカシア)




     ミモザ咲き遠き母との日を想ふ         栗田やすし




     陶房の窓いつぱいにミモザ咲く         下里美恵子




     ミモザの黄女子学院のガラス窓         武藤光晴




     退院の朝ミモザの咲き始む           牧野一古




     ミモザ咲く明るき道を赤子見に         長江克江




     ゴンドラの花嫁抱ふ花ミモザ          溝口洋子




     町筋に咲き満つミモザ夕茜           山下善久




     坂の上にひろごる町や花ミモザ         栗生晴夫




     誕生日瓶にミモザを溢れ挿す          大嶋福代




     窯小屋の屋根に枝垂るる花ミモザ        沢田充子




     ☆ 3月8日はミモザの日
       ミモザという植物はありません。あの黄色いぽんぽんの花は、
       アカシアの花です
       正式名称は〇〇アカシアです 〇〇の種類はかなり多いようです
       掲題の写真は銀葉アカシア
       元々は南半球の植物で雨の少ない地域で生えてるものが多いとか



     アカシヤの花こそ曇れ野鍛冶の火    藤田湘子


     アカシヤのもとに梢の花も落つ     山口誓子


     アカシヤのくらみに散りて朝月夜    飯田龍太
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3月 13日

2019-03-12 15:58:17 | Weblog
               沈丁花、沈丁、瑞香(ずいこう)




     沈丁花伊吹の裾に母ゐます           栗田やすし




     杖抱いて眠れる人や沈丁花           河原地英武




     皺多き着物の裾の沈丁花             細見綾子




     沈丁の香を曲り来て子規の墓          武田稜子




     沈丁や夕映え淡き壬生の路地          伊藤範子




     昨夜の雨上がりて香る沈丁花          小島千鶴




     沈丁や路地の奥なる地蔵尊           中村修一郎




     窓少し開け沈丁の風待てり           上杉美保子




     長旅を沈丁の香に迎へらる           大倉カツ江




     沈丁の香りにうごく庭の闇           井沢陽子




     沈丁や記憶の母の割烹着            武藤光晴



          
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