６月 ２０日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　百日紅・さるすべり






　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　百日紅一樹が炎ゆるたよりかな　　　　　　　　　　　　沢木欣一


　　　　　　　　　　藁草履買ふ山麓の百日紅　　　　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　日の沈む港の倉庫百日紅　　　　　　　　　　　　　　　桑原　良


　　　　　　　　　　島のバス曲がりて散らす百日紅　　　　　　　　　　　　小原米子


　　　　　　　　　　病院の裏くれなゐの百日紅　　　　　　　　　　　　　　森　靖子


　　　　　　　　　　百日紅のみに風ある真昼かな　　　　　　　　　　　　　梅田　葵




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　女来と帯纏き出づる百日紅　　　　　　　　　　　　　　石田波郷


　　　　　　　　　　乳子ほのと立ちて新し百日紅　　　　　　　　　　　　　秋元不死男


　　　　　　　　　　満月出て白さるすべり遊ぶごとし　　　　　　　　　　　森 澄雄


　　　　　　　　　　抱き起こす父のかるさよ百日紅　　　　　　　　　　　　石嶌岳


　　　　　　　　　　黎明のにはかに白きさるすべり　　　　　　　　　　　　鷹羽狩行


　　　　　　　　　　百日紅まなじりに火の育つ日々　　　　　　　　　　　　福永耕二




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　　　

６月 １９日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　とまと・蕃茄・青トマト





　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　初蝶を見たりトマトだけの昼餉　　　　　　　　　　　　細見綾子 


　　　　　　　　　　風垣を二重に能登のトマト畑　　　　　　　　　　　　　矢野孝子


　　　　　　　　　　まだ青きトマト鴉が食ひ荒す　　　　　　　　　　　　　小原米子


　　　　　　　　　　塩振つて初生りトマト頬張れり　　　　　　　　　　　　藤田岳人


　　　　　　　　　　起き抜けに摘む鉢植ゑのミニトマト　　　　　　　　　　鈴木真理子


　　　　　　　　　　トマト熟る海より低き干拓地　　　　　　　　　　　　　平松公代




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　妻も濡る青き蕃茄の俄雨　　　　　　　　　　　　　　　山口誓子


　　　　　　　　　　土深く竹刺してまだ青トマト　　　　　　　　　　　　　和知喜八


　　　　　　　　　　二つ三つふぐり下りに青トマト　　　　　　　　　　　　石塚 友二


　　　　　　　　　　古書街に日は昇りけり青トマト　　　　　　　　　　　　斉藤夏風


　　　　　　　　　　千万の宝にたぐひ初トマト　　　　　　　　　　　　　　杉田久女


　　　　　　　　　　青トマト落つ石垣に驟雨の痕　　　　　　　　　　　　　中　拓夫 




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　　　　

６月 １８日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　梅雨入り・ついり・梅雨兆す・入梅・走り梅雨





　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　マヨネーズ匂ふ病後や走り梅雨　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　梅雨兆す書棚に空の貯金箱　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　屏風絵の銀の剥落梅雨に入る　　　　　　　　　　　河原地英武


　　　　　　　　　　入梅や運河に揺らぐ常夜灯　　　　　　　　　　　　武藤光晴


　　　　　　　　　　つゆ入りの風なまぐさし桶狭間　　　　　　　　　　加藤ゆうや


　　　　　　　　　　糠床を混ぜて日暮るる入梅かな　　　　　　　　　　青山美佐子




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　ひとの句が心占めをり梅雨入り前　　　　　　　　　林　翔


　　　　　　　　　　夕暮は犬の時間ぞ梅雨に入る　　　　　　　　　　　櫂　未知子


　　　　　　　　　　梅雨めく日寒き日選挙近づけり　　　　　　　　　　相馬遷子


　　　　　　　　　　玉子一つ割りて朝餉や走り梅雨　　　　　　　　　　鈴木真砂女


　　　　　　　　　　十薬の花まづ梅雨に入りにけり　　　　　　　　　　久保田万太郎


　　　　　　　　　　島にあがる魚美しき入梅かな　　　　　　　　　　　大峯あきら




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　　　　　　　　　　　　　　　

６月 １７日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　団扇・渋団扇・古団扇





　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　岐阜団扇つくる足半窓に吊り　　　　　　　　　　　都合ナルミ


　　　　　　　　　　休業の陶工房に渋団扇　　　　　　　　　　　　　　武藤光晴


　　　　　　　　　　鵜篝の火種を熾す渋団扇　　　　　　　　　　　　　角田勝代


　　　　　　　　　　病窓に青き島原うちは風　　　　　　　　　　　　　玉井美智子


　　　　　　　　　　出番待つ女をあふぐ団扇かな　　　　　　　　　　　松井徒歩


　　　　　　　　　　蒲焼の煙を叩く破れ団扇　　　　　　　　　　　　　ころころ





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　灯とり虫団扇にのせて見せてゐる　　　　　　　　　細見綾子

　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　方言はひとことで足り渋団扇　　　　　　　　　　　鷹羽狩行


　　　　　　　　　　一途さが論に勝ちをり白団扇　　　　　　　　　　　岡本　眸


　　　　　　　　　　耳うちのときの団扇のうすみどり　　　　　　　　　鷹羽狩行


　　　　　　　　　　いつよりを晩年といふ渋団扇　　　　　　　　　　　有馬朗人


　　　　　　　　　　御紋入大本山の安団扇　　　　　　　　　　　　　　阿波野青畝





　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　　　　　　　　　　

６月 １６日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　父の日





　　　　　　　　　　　　　　　　



　　　　　　　　　　父の日の娘と酌み交はす赤ワイン　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　父の日や軍服の父若かりし　　　　　　　　　　　　安藤幸子


　　　　　　　　　　父の日や嫁ぎ来る子に貰ふ酒　　　　　　　　　　　武藤光晴


　　　　　　　　　　父の日も父は始発で魚買ひに　　　　　　　　　　　横森今日子


　　　　　　　　　　父の日や寝椅子に夫のコンサイス　　　　　　　　　内田陽子


　　　　　　　　　　父の忌は父の日雨の降り止まず　　　　　　　　　　関根切子




　　　　　　　　　　　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　父子草




　　　　　　　　　　父の日の隠さうべしや古日記　　　　　　　　　　　秋元不死男


　　　　　　　　　　胸中の父と父の日語らはむ　　　　　　　　　　　　大橋敦子 


　　　　　　　　　　父の日を誰にも言はれず旅にあり　　　　　　　　　林　翔


　　　　　　　　　　父の日やいつより怒らざる父に　　　　　　　　　　片山由美子


　　　　　　　　　　緑濃き朝の雨降る父の日よ　　　　　　　　　　　　菖蒲あや


　　　　　　　　　　父の日の子よりの電話母が待つ　　　　　　　　　　森 啓子




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　　　　　　　　　　

６月 １５日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　夾竹桃





　　　　　　　　　　　　　　　　





　　　　　　　　　　　　　葉が竹に似ていること、花が桃に似ていることから夾竹桃と呼ばれています
　　　　　　　　　　　　　夾竹桃には強い経口毒性があり、野外活動の際に調理に用いたり、家畜が食べたりしないよう注意が
　　　　　　　　　　　　　必要で花、葉、枝、根、果実すべての部分と、周辺の土壌にも毒性がある。 生木を燃やした煙も有毒で
　　　　　　　　　　　　　あり、毒成分は強心配糖体のオレアンドリンなどです（インド原産・薄黄色もある）




　　　　　　　　　　人妻の眉根夾竹桃憂しと　　　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　夾竹桃咲き連なりて基地隠す　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　堀川の潮の迅さや夾竹桃　　　　　　　　　　　　武田明子


　　　　　　　　　　夾竹桃赤し野外の原爆展　　　　　　　　　　　　石原進子


　　　　　　　　　　道の端に無縁の墓や夾竹桃　　　　　　　　　　　中村修一郎


　　　　　　　　　　夾竹桃白際立てり投票日　　　　　　　　　　　　新川晴美




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　白は目に涼し夾竹桃さへも　　　　　　　　　　　稲畑汀子


　　　　　　　　　　裏はすぐ運河にほへり夾竹桃　　　　　　　　　　山口青邨


　　　　　　　　　　夾竹桃おなじ忌日の墓ならぶ　　　　　　　　　　朝倉和江


　　　　　　　　　　夾竹桃日暮は街のよごれどき　　　　　　　　　　福永耕二


　　　　　　　　　　水着ほす夾竹桃の夕日中　　　　　　　　　　　　西島麦南


　　　　　　　　　　夾竹桃どこにも咲いて火の島なり　　　　　　　　菖蒲あや




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　

６月 １４日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　捻花・文字摺草・ ねじればな・もじばな・もじずり




　　　　　　　　　　　　　　ラン科の多年草。草地や畦道に咲く。細い茎に淡紅色の筒状の小 花が捩れたように咲きあがって
　　　　　　　　　　　　　　いくのが名前の由来。時には白い 花もある。　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　雨誘ふ風の匂ひや文字摺草　　　　　　　　　　　　国枝洋子


　　　　　　　　　　腹這ひて捩花撮れり大男　　　　　　　　　　　　　田畑　龍


　　　　　　　　　　ねぢれ花芝生に一本残し置く　　　　　　　　　　　石原進子


　　　　　　　　　　捻子花や想ふほど子に思はれず　　　　　　　　　　中村あきら　


　　　　　　　　　　関跡に捩りゆるびし文字摺草　　　　　　　　　　　野島秀子


　　　　　　　　　　捩花の天へ行きつく小虫かな　　　　　　　　　　　中川幸子




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　文字摺の階を下りゆく雫かな　　　　　　　　　　　阿波野青畝


　　　　　　　　　　捩花の一本に風旅の僧　　　　　　　　　　　　　　加藤三七子


　　　　　　　　　　捩花を摘めば蜜恋蜂が従く　　　　　　　　　　　　平畑静塔


　　　　　　　　　　能稽古舞台の冷えや文字摺草　　　　　　　　　　　石川桂郎 


　　　　　　　　　　遠ざかる遍路の鈴や捩花　　　　　　　　　　　　　有馬朗人


　　　　　　　　　　もじずりの花の恋歌なかりしや　　　　　　　　　　大谷ふみ子




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　

６月 １３日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　萱草（かんぞう）の花・忘草・野萱草・藪萱草





　　　　　　　　　　　　　ユリ科の多年草。道端や田の畦などに咲く。八重咲きがヤブカンゾウで、一重咲きはノカンゾウと呼ばれる
　　　　　　　　　　　　　中国の帰化植物の一つで別名忘れ草という。花の美しさにウサを忘れるからと言う説もある





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　萱草の捧げたる朱に帰り来し　　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　御前崎浜萱草の濃かりけり　　　　　　　　　　　　中村たか


　　　　　　　　　　湿原に朽ちし木道野萱草　　　　　　　　　　　　　高橋ミツエ


　　　　　　　　　　野萱草明し観音像の裾　　　　　　　　　　　　　　巽　恵津子


　　　　　　　　　　野萱草（かんぞう）ポトマス河畔うめつくす　　　　河村恵光


　　　　　　　　　　氷室跡藪萱草の野となれり　　　　　　　　　　　　上田博子




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　





　　　　　　　　　　萱草やこゝに芽をふく忘草　　　　　　　　　　　　正岡子規


　　　　　　　　　　ひとつ萎えひとつは咲きて野萱草　　　　　　　　　榎田きよ子


　　　　　　　　　　今日をうたえ藪萱草の百の舌　　　　　　　　　　　豊口葉子


　　　　　　　　　　野に咲いて忘草とはかなしき名　　　　　　　　　　下村梅子


　　　　　　　　　　蝦夷萱草今を盛りの利尻富士　　　　　　　　　　　荒舩青嶺


　　　　　　　　　　朽舟の沖は遠き日忘草　　　　　　　　　　　　　　三木綾子




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　

６月 １２日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　茄子・鴫焼・茄子漬・初茄子・焼茄子・なすび





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　故郷の日やけの茄子を送り来し　　　　　　　　　　細見綾子


　　　　　　　　　　二人居の安らぎ茄子の一夜漬　　　　　　　　　　　国枝隆生


　　　　　　　　　　初なすび母の畑を受け継ぎて　　　　　　　　　　　辻江けい


　　　　　　　　　　茄子太る波音近き海女の畑　　　　　　　　　　　　掛布光子


　　　　　　　　　　ほの甘き茄子の煮浸し夕の膳　　　　　　　　　　　夏目悦江


　　　　　　　　　　焼なすびつるりとむけて退院日　　　　　　　　　　加藤都代




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　もぎたての茄子の紺や籠に満てり　　　　　　　　　星野立子


　　　　　　　　　　ふるさとや支へ木しかと茄子実り　　　　　　　　　鈴木真砂女 


　　　　　　　　　　すずめらに青波しぶき茄子畑　　　　　　　　　　　飯田龍太


　　　　　　　　　　漬茄子の色あざやかに嫁かずあり　　　　　　　　　菖蒲あや


　　　　　　　　　　辛味噌の香に立ち初めぬ焼茄子　　　　　　　　　　石塚友二


　　　　　　　　　　古事記伝読みし夜は茄子鴫焼に　　　　　　　　　　有馬朗人




　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています　　　　

６月 １１日

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　南瓜の花・花南瓜





　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　花南瓜角逞しき島の山羊　　　　　　　　　　　　　栗田やすし


　　　　　　　　　　徒花の多き南瓜の咲きにけり　　　　　　　　　　　小原米子


　　　　　　　　　　神の田に蔓伸ばしたり花南瓜　　　　　　　　　　　篠田法子


　　　　　　　　　　花南瓜近江水路に蔓延ばす　　　　　　　　　　　　小栁津民子


　　　　　　　　　　這ひ上り茶畝またげり花南瓜　　　　　　　　　　　松本恵子


　　　　　　　　　　境なき本家と分家花南瓜　　　　　　　　　　　　　上村龍子




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　早起きの農家南瓜の花開く　　　　　　　　　　　　右城暮石


　　　　　　　　　　湯治婆腰紐一つ花南瓜　　　　　　　　　　　　　　遠藤梧逸


　　　　　　　　　　花南瓜馬車の世馭者の世は遠し　　　　　　　　　　鷹羽狩行


　　　　　　　　　　咲き初めて雄花ばかりや花南瓜　　　　　　　　　　河本遊子


　　　　　　　　　　母の鍬いつも戸口に花南瓜　　　　　　　　　　　　伍賀稚子


　　　　　　　　　　南瓜咲き室戸の雨は湯のごとし　　　　　　　　　　大峯あきら




　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　サイトから一部資料・写真・知識お借りしています