チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 155

2019年05月15日 10時04分48秒 | 日記
もともと着物の模様はニュースペーパーだと思う
模様の始まりは「織」で表したり「石摺りや木版、葉摺、絞り」などがあってこれらは今で言う幾何学的な模様であった
色の発達は素晴らしく植物や鉱物での染料の使い方は日本は世界で最も多色の色を布に染めた民族だと思う
さて
布に模様を染め出すようになったのは江戸時代「友禅染」の技法ができてから
この時代はは誰でもが旅ができなかった
藩政を敷いていたのでその県境のようなところには必ず札所があり
旅に出かける人は通行手形が必要であった
一般的にはなかなか諸国を旅することはできない

そこで
各地の絵師たちがその土地の名所旧跡を書いて訪れた人に売っていた
それが布に描かれ高価なお金を出して国で留守預かっている家族の土産に持ち帰ったのが友禅の着物
都風俗、大名行列、神社仏閣 春夏秋冬の景色、仏様
絵になるものはすべて布に描いて都の宣伝をしたのではないかと思う

ニュースペーパーだから都で流行している食べ物や習慣、祭祀なども表現されていた
またご当地自慢の風景や名所なども人々に知らせる縁となっていた
昔の衣裳を見ると本当に想像を掻き立てられる模様が多い
そして今それが時代を雄弁に語っているので貴重な資料にもなっている

自然を見る目が細やかな日本人は「椿や松、梅、竹」などに降り積もる風景を模様にしたり
雪の結晶の面白さを文様に取り入れたり
縄文土器を絣柄にしてみたりその創造力の凄さに敬服する

こういう模様の生い立ちを考えるとき
物語性のあるものを着物の模様にするのが本筋なのだなと思うようになった
古くは伊勢物語を模様にした尾形光琳を始めとする琳派と言われる絵師たちの繪を着物の模様にすることが多かった
今でも着物の基本の柄としてもてはやされている

着物はキャンバスだと思っている
其処に様々な表現がありそれを着る人が完成させる
江戸時代までは着物が引き着だったので大胆な模様もいきいきと息づいていたが
今は帯との調和があり着る人の感性と知恵に委ねられている
だからこそ着物の模様の意味を知ることが大切なのかもしれない

ある時からチャコちゃん先生は着物の模様に意味をもたせることに熱中
今日は久しぶりに長年の友(共著もある)中野裕弓さんとのデート、横浜なのでマリンブルーの地色の着物
そして昔裕弓さんがトドと会話したことを思い出しトドやクジラ・イルカなどの柄を描いた着物を着ていき喜ばれた
着物はごちそうでないといけないとつくづく思った次第

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コメント
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