チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 156

2019年05月17日 08時57分42秒 | 日記
着物のTPOを考えてみたい
先日電車の中で着物に靴を履いて嬉しそうな二人の20代と思しき女性に出会った
着物の中にはレースの白いブラスが見えたふたりともお揃い
肩からショルダーバックを掛けている着物の素材は化合繊

可愛い顔をしていた
明治維新の坂本龍馬も靴で闊歩していた
チャコちゃん先生も麻の浴衣にサンダルを履いていたことがあるがそれは下駄を履くと当時はホテルに入れなかったから
そういえば
一流のホテルでは雨下駄も許してもらえず慇懃無礼にスリっぱを差し出されたこともあった
それにこりて雨の日には必ず草履も携帯していた

あるとき京都で舞妓さんがポッくリを脱がされスリッパを履かされている現場に出くわし
舞妓ちゃんの可愛らしさはあのポッくリにあるのにと思い
よせばよいのにホテルの支配人を呼びつけ
「どうして履いてはいけないのか理由をお聞かせください」
「絨毯が痛むので」「
「ピンヒールのほうがよほど痛むのではないかしら」
「でも決まりですので」
「お役人みたいなこと言わないでよ、ここは京都よ舞妓ちゃんは観光の要でしょう?」

お茶屋のお母さんが間に入り宴会場では履いてもいいと云うことになった

「バカじゃあないの」と納得できない気持ちで打ち合わせに入っていたら
お茶屋のお母さんが探し当ててきて
「おおきにお時間あったら家で一休みどうどす」
と誘われそれ以来未だにお付き合いが続いている

自分のことだと
「ハイそうですか」とすぐ引き下がるのに人が理不尽な目にあってると血が騒ぐ
困った性格

今では浴衣に下駄でも平気に通している 時代ですかね

基本的に礼装とか正装は由緒正しくきちんとするべきだと思うが
普段は「着たいように着たらいい」
しかしその着方に「美」がなければ意味がないと考える。見ていて気持ち悪かったらそれはいい着方ではない

着物の長い歴史の中でいろんな着方が登場している
その着方には階級があったり職業での表現の違いがあったりしている
それを認識しないと
そしてその違いをよくわかっていないと着姿を間違う
一時振り袖の乙女が花魁の着付けをするのが流行った年がある
花魁の職業を理解していなかったのだろう

基本を崩して着るのは改革だが
まるきし基本を無視して崩しているとそれは「ごみ」

どうして足袋を履くのか
なぜ草履なのか
長襦袢や襦袢はどうして必要なのか
帯は何故に存在しているのか
それらが長く必要とされたことを理解した上で
「私はこのように着たい」となればきっと美しい

#花魁 #振り袖 #浴衣 #チャコちゃん先生 #歴史 #基本 #舞妓ちゃん #お茶屋 #中谷比佐子


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする