温暖化防止活動推進員 辻 悦郎
7月の北海道洞爺湖サミットを控え、私たちの温暖化対策への取り 組みが世界から注目されています。3月に千歳市で行われたG20 閣僚級対話の開会式で、英国のブレア前首相は「温暖化に対応で きなければ将来の世代に破壊をもたらす。今こそ政治的な意志と指 導力を発揮すべき時だ」と語っています。地球温暖化への対応は天 気予報と同じく、観測した情報をいかに科学的に理解するかが問わ れます。いま地球との協議が重要なのに、人間の都合ばかりが議 論されています。京都議定書の削減目標は政治的妥協にすぎませ ん。私たちの都合や不利・有利にとらわれて、地球や自然との関係 が軽視されています。私たちの輩出する温室効果ガスの量が、海や 植物の吸収量を上回っています。自然が吸収する量は年間約30億 ㌧、人間が輩出する量は約64億㌧なので、毎年34億㌧が大気中 に取り残され、温暖化が進みます。気候変動に関する政府間パネル (IPCC)の第四次報告書によると、2005年時点の温室効果ガス濃 度は379ppm。産業革命以前の280ppmに比べ35%も増えていま す。1970年から30年間に世界の温室効果ガスの排出量は70% 増加しました。2050年までに日本は85%の二酸化炭素を削減す る必要があるとされています。京都議定書で日本は1990年比で6 %、北海道として9・3%の削減を目指していますが、私たちはなお 増加させる暮らしを続けています。サミットが迫っても日本の中長期 削減目標値も定められず、このままでは温暖化防止も国の借金や 核廃棄物同様、これらの後始末を子供たちの世代に残すことになり そうです。