道立道南農業試験場研究部長 赤司 和隆 水田転作、窒素肥料が不可欠
食生活の洋風化に伴い米の消費量が減少して います。現在、一人当たりの年間消費量は、ピ- ク時の1962年の約50%、60㌔㌘程度です。 このような米離れと並行して、米の生産を止め、 水田を畑にして作物を栽培する「水田転作」が全国的に進んでいま す。近年、道央の水田地帯で麦、大豆、ソバ、タマネギなどの栽培 面積が増えたのはこのためです。水田から畑になったばかりの転換 畑では、水田時の土壌環境を引きずっており、問題がしばしば起こり ます。水田の下層土は水が漏れないように硬く締まっています。 そのため転換畑では水はけが悪く、作物の根が湿害で傷むことが あります。堅い下層土をこわし、水はけを良くする対策が必要です。 また、水田では、窒素をマメ科植物に与える根粒菌がほとんど生息 していません。これは共生関係にあるマメ科作物が栽培されていな かったことや、酸素不足のためです。したがって、転換後初めて栽 培される大豆では根粒菌からの窒素供給が不十分なため、葉色が 薄く、成育も劣りがちです。このため、7月の開花期ごろに窒素肥料 を施す対策が空知管内長沼町の道立中央農試で開発されています。