゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

今春「エゾシカ学」開講<増子 孝義さん>

2008-04-19 17:00:00 | 人物100選

東京農大生物産業学部教授                                                  地域資源の有効活用を

100_0434 個体数の急増が問題視されるエゾジカを有用な                           「地域資源」ととらえ、生態研究から養鹿、加工、                           流通まで総合的に学ぶプログラム「エゾジカ学」                            が今春、網走の東京農大生物産業学部で本格                           的に開講した。主導する増子孝義教授(動物栄                           養学)に、エゾジカ有効活用の意義を聞いた。昨                           年10月下旬、全道でエゾジカ猟が解禁された。                           明治時代に絶滅の危機にひんしたが、大量死に                           結びつく豪雪が減ったことなどで、1980年代後                           半から急増。道内の生息数は約40万頭と推測さ                          れる。農業被害はピ-クだった96年度の50億円                          からは減ったものの、30億円前後で推移。最近は札幌市内の住宅街              にも現れ、騒ぎを起こした。このため90年代後半からは年5~8万頭が             捕獲され、最近はレストランなどでシカ料理が注目されるが、「活用さ              れているのはほんの一部」という。「80年代の後半にもシカ肉ブ-ム                          が起き、飼養が試みられましたが、解体手続きや販売ル-トが従来                           の家畜と異なるため、あまり普及しませんでした」東京農大では89                           年の網走校開校以来、エゾジカの生態や食肉加工などの研究を続                            けてきた。99年から釧路市(旧阿寒町)の前田一歩園財団の所有                           地で、冬季に野生ジカへの給餌を行い、2005年からは大がかりな                          「わな」で生体捕獲している。前冬は約5百頭を捕獲し、研究に活用                           したほか、道東にあるシカ牧場にも提供された。

100_0433 全国初という「エゾジカ学」は、これまでの東京農                          大の取り組みを一歩進め、生態研究から養鹿、食                          肉加工、流通などを体系的に学ぶカリキュラム。本                         年度、文科省の『現代的教育ニ-ズ取り組み支援                          プログラム」(現代GP)に選定され、昨10月から09                         年度末まで2年半に及ぶ教育プログラムがスタ-トした。「エゾジカ学」                         は、文系、理系の分野を横断的に学ぶ「文理融合」もうたい文句。大学                         1、2年次で生態学や食品科学などの基礎と、「エゾジカ学のすすめ」                          として総論を、3年次以降は生態調査などの実習や食肉加工、流通も                          学ぶ。「エゾジカという地域資源の有効活用で、人間との共生を考える                          こと」が「エゾジカ学」の精神という。酪農飼料の栄養学的な研究を専                          門とする増子教授は、89年の網走着任を機に、エゾジカ研究を始めた。                        冬に捕獲した野生ジカを大学構内の施設で翌年秋まで飼養する「一時                         養鹿」に取り組み、ふんを回収して餌の消化率を調べるなどで、飼養の                         好適条件を探る。餌は牛との共通点が多く、牧草やトウモロコシなど粗                         飼料を使ってコストを下げつつ、肉質を維持するのが課題だ。「エゾジカ                         学」は、大学だけでなく、民間事業者や行政との連携が不可欠だ。「道                          の野生生物の窓口は自然保護課だったが、食品加工は農政、流通は                         経済の分野。これらの部署の連携と、シカ牧場、ホテルやデパ-トの関                         係者も交えた有効活用検討委員会の発足で、動きが活発になつた」と                         喜ぶ。増子教授は「エゾジカ学」を機に、地域資源としてのエゾジカがさ                         らに注目されることを願う。

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