また通学中の子どもたちを巻き込む自動車事故が発生し、幼い命が奪われたこと。海上自衛隊の訓練ヘリが行方不明になっていること。渋谷区が同性カップルに証明書を発行するということ。大韓航空元副社長のいわゆる「ナッツ・リターン事件」に対する判決が言い渡されたこと。福井県の高浜原発3・4号機が再稼働に向けた規制委員会の審査に合格したこと。安倍首相の施政方針演説が行われたこと。などなど…
交通事故などに関するニュースについては、ほぼ全ての人たちが同じ思いを抱くであろう。一方で、受け取る側のスタンスによっては判断が分かれるものもある。高浜原発に関しては、地元のおばちゃんが「大歓迎」というコメントを遠慮なく語っていたけど、その経済的な理由が推進側の本音であることは疑いなく、そこから出発しなければならないと思う。
さて、安倍首相の施政方針演説については、報道機関によっては彼が言う「大改革」という言葉を前面に出し持ち上げているところがある一方、野党のコメントを交えながら批判的な視点を加えているところもある。ただ、以前はパネルに内容を整理して提示するなどの手法を取っていたのではないかと思うけど、今夜はそうした論点整理をする局を確認することができなかった。もちろん、僕が視ていなかっただけかもしれないけど…
安倍氏は、この国会で求められていることは批判の応酬ではないと言っている。それは尤もに聞こえるけど、本当だろうか。
彼は首相に返り咲いて以降「この道しかない」と語気を強めて自らの政策を強引に進めている。そうした彼の手法については「批判の応酬」は邪魔者以外にないだろう。それはこの国が「自由で民主的な国」ではないことを表しているように見える。そして、それを進めているのがその「自由」と「民主」という言葉を看板に掲げた正当だというのは皮肉としか思えない。
報道の自由より首相とメシを食うことの方に価値があるこの国において、批判的な報道を求めるのはもう難しいのだろうか。全ての国民・有権者が国会答弁や演説を一字一句聞くほど時間がない中、そうした批判の視点を持ったメディアの存在を改めて望む。