実は、彼が出演している作品をこれまでほとんど観たことがなかった。けれども、朝ドラ『マッサン』で彼が演じる「鴨居の大将」こと鴨居欣次郎という人物がとても魅力的だったからだ。モデルとなったサントリーの創業者 鳥井信治郎氏についてはよく知らないけれど、きっとあんなスケールの大きな人物だったのだろう。
さて、映画の方は、事業に失敗しバリ島に来た演じる祥子(尾野真千子さん)が、現地に住む強面の風貌を持つ大富豪の「アニキ」(堤真一さん)に出会い、彼の思いに触れることで、一度は自殺しようと思っていた気持ちが変わっていくという話だ。
どうすれば成功することができるのか。祥子はアニキからその秘訣を教わっていく。それはとても難しいというものではない。当たり前のことかもしれない。でも、その当たり前ができずに僕らはいつも立ち止まってしまう。「辛い時こそ笑え」というのは僕も以前はそうしていたけど、ここ1年ほどは笑うこともできないほどの状況が続いている。いや、笑ってしまえば大したことではなかったのかもしれない。。
堤真一さんは、派手なTシャツに金のネックレス、そしてバリバリの関西弁でしゃべる「アニキ」を楽しんで演じられていたように見えた。その姿は、どこか「鴨居の大将」に通じるところがあるように感じた。きっと、僕の他にもそう思う人はいたんじゃないかな。
尾野真千子さんを初めて観たのはドラマ『Mother』だったけど、それ以来、シリアスなイメージが強かったけど、この作品ではコメディエンヌとしての魅力を輝かせていた。前々から思っているんだけど、いつか芦田愛菜ちゃんと親子役でコメディをやってほしい。
玉木宏さんは主役を演じる作品も多いけど、こうして脇を固めるのも上手い。そう感じたのは『平清盛』の時だけど、リュウという青年がなぜアニキを慕うのかが何となく伝わってきた。
ナオト・インティライミさん、お名前は聞いたことがあったけど、初めて拝見した。役者として初めての作品だそうだけど、警察に捕らえられたシーンとか、新人俳優さん(?)とは思えなかった。
なかなかすっきりしない日々が続いているけど、久しぶりに心から笑うことができたから、良かったのかな。