先日新聞を読んでいたらこのイベントについて紹介されていて、たまたま会場が近かったというのもあったけど、何よりも、事故についてはいろいろ思うところがあったので、事故に遭われた方々を招いてのトークイベントにも申し込みをして参加させていただいた。
小さな展示スペースではあったけど、事故で負傷されたお2人をはじめ、ご家族が負傷された方々、そして、事故を取材された方々や弁護士の方へのインタビューがパネル展示されるとともに、負傷されたお2人がともにアートに携わられていることから、お2人による作品が展示されていた。
トークイベントでは、そのお2人とともに、事故を取材された記者の方が登壇され、この展覧会を企画された木村奈緒さんの質問に答える形で進んだ。
終盤、負傷された方から「今回の展覧会を観る前と後でどのように気持ちが変わったか、変わらなかったか」という質問が会場に投げかけられたので、僕は、死亡した運転士についての複雑な思いについて述べた。これは負傷された方々に尋ねることではないとは思ったけど、誰かに聞いてみたかった。
その方は彼は加害者だとおっしゃっていた。それは、彼には運転手を辞めるという選択肢もあったという理由が添えられた。被害に遭われた方々にとってはそうだろうと思いつつ、終了後にその質問をしたことについてお詫びすると、複雑な思いを語ってくれた。
僕は、誰かの指揮命令の下で働く立場の人たちにとって、事故を起こした運転手がなぜそこに至ってしまったのかを考えることは必要ではないかと思う。やりきれないほどの仕事を任せられた時、苦も無くこなすことができる人もいれば、それを長時間残業してこなせる人もいるだろう。そして、悩んで自ら死を選ぶ人、その場から逃げたす人、できないと相談することもできるだろう。ただ、彼にそれができたのだろうか。また、できたとしてしようとしただろうか。
この事故で被害に遭われた方々や、ご家族を亡くされた方々にそれを問うのは酷だと思うし、それをしてしまった僕自身を悔いている。
あの質問は、僕が後ろを振り向いて会場に来ていた全ての人に投げかけるものだったと、今さら言っても仕方ないか…
いや、それは誰かにぶつけるのではなく、自分自身の中で問い続けよう。閉まりかけたドアに駆け込むことや、電車の遅れにイラつくことなどを止めることともに…
このイベントを企画された木村奈緒さんには改めてお礼を申し上げることとして、今週末まで開催されるイベントに多くの方々が訪れ、何かを感じてもらえたらと願う。