西川さんの映画は、デビュー作の『蛇イチゴ』から全4作品を観させていただき、その都度、思いもよらぬ展開に驚かされ、楽しませてもらっている。
いや、オムニバス作品の『female』などは観ていなかった…
彼女の作品は全て彼女自身によるオリジナル脚本作品で、また小説『きのうの神様』で直木賞にもノミネートされるなど、彼女が物語を紡ぐ力は評価が高い。
さて、この本はタイトル通り、登場人物たちが語る「永い言い訳」が綴られている。どういうことかと思いつつ読み進めていくと、突然バッサリとした展開が訪れる。そして、その後の「言い訳」はバッサリと訪れた展開に絡みつき、人々の人生を変えていく。
僕は、なるべく誰かの人生を左右するようなことに関わらないようにして生きているつもりだ。「僕の行動が誰かを不幸にしてしまったら…」という恐れが気持ちの根底にあるからだ。だけど、それって自分自身が他者からの関わりを拒んでいることの裏返しであって、それは自分でもわかっている。
本を読み進めていくうち、本の中で展開する出来事に、そんな僕の気持ちがざわつき毛羽立ち、そこを逆撫でされるような感覚を持った。それでも、西川さんの紡ぐ物語には力があって、寝付けなかったこともあり、途中から一気に読み終えた。
ついさっき、この作品に関連した西川さんのインタビューを見つけた。あらすじやらが書かれているので、そうした事前情報を知りたくないという方はリンクを開かない方がいいかと思うけど、読み終えてこのインタビューを読むと、心の中で読後感が膨らんでいく感じがする。特に、タイトルを「長い…」ではなく、「永い…」とした理由は、そういうことだったのか。
人と人は、一度出会ってしまったら、その時点でもう後戻りはできない。「関わり合いたくない」と思えば、そう思う表情や態度が相手の気持ちに波を立てる。だったら、積極的に関わっていってもいいんじゃないか。
47歳となった今日、改めてそんなことを考えてみた。