熊本レポート

文字の裏に事件あり

危機的状況下で決まる首長のアホか賢人かの資質

2016-05-18 | ブログ

 被災地の首長らは本震後から帰宅することも叶わず、また自宅が自らも全壊した職員も本来の業務を棚上げして、震災の後片付けに奮闘、奔走していることは承知。
 また大量の震災ゴミが、通常の年間2倍超も排出された点、そして熊本市にあっては東部清掃センターが震災で損傷して機能しなくなった点、それに震災ゴミと一緒に排出されたテレビやパソコン等の廃棄家電製品が同リサイクル法によって分別、有料であることも理解しているが、この余震の続く最中で住民側と自治体側とで、その震災ゴミを巡って「自治政治」の問われるトラブルがあった。
「1ヶ月も震災ゴミを放置しては奥に追いやられた住居の修復も出来ないではないか。それに小学生の通学にも支障を来す」
 駆けつけた職員に住民側が迫ると、職員がそれに
「いま、しばらく待ってください。どうしても急ぐとなれば自己責任で搬送という手段もあって、ただし電化製品の処分は有料となります」
 そう応えると、当然ながら住民らは
「ふざけるな」
 怒鳴った。
 中心街は本震から1週間後、予告通りに自衛隊がトラックで駆けつけ、紙塵ひとつまで持ち去った。さすが電化製品の大型ゴミだけは残したが、それは町内会で処理。
 また御船町では当初、「不良電化製品の排出は分別」と通知したが、その3日後にはそれらも搬送処理に切り替えた。
 まず、この3者の異なる点は何なのか、である。
 市町村長には指揮権という前提の課題もあるが、震災ゴミの搬送には自衛隊だけでなく県外自治体からも多くの支援収集車、スタッフが入った。
 それだけでなく建築調査スタッフも福岡、北九州市等から派遣の支援を受けたが、全壊はともかく、早急な修復の希望が多い自宅半壊の住民にとって、公的支援に向けた罹災証明に必要な現地調査がこれほど遅れては、該当市民の我慢も限界寸前。
 避難者3万6500人を想定して、その2日分の水や非常食を備蓄していた熊本市では、本震後の16日未明における避難者は約18万人。18日頃からはあまり余る程の食料が到着したが、肝心の2日間は500人前後の避難所も水や食料は持ち寄って、それを弱者中心に配分した状況。救援情報の不足から孤立感を訴える被災者は、明らかに危機管理の欠落が生んだ自治行政の責任。
 介護者、食料等の不足もあって準備していた福祉避難所(1700人の受け入れ予定)が機能しなかった点(入所70人)、それに国から要請があったにもかかわらず仮設住宅の建設用地を選定していなかった点など、これらは危機管理意識の希薄以前の問題。
 語弊もあるだろうが、平常時における行政トップの能力、手腕には目立つ程の大差はない。歴史を振り返るまでもなく、政治的リーダーにその真価が問われるのは危機的状況における判断、決断能力。
 一方、市民は天災等の危機的状況において不安と不満で心身ともに疲弊して、その上に我慢を強いられるわけで選択への感情は最高潮に達する。
 世界各国から見舞い、義援金が寄せられ、いまも寄付、義援金、支援金を求め、国には補助率の大幅な引き上げを要求している中で、約1億円のイベント事業費を要する花火大会、そして約8300万円の公費を投下する火の国まつりについて、一部の商店繁栄会に「こういう時こそ復興に向けて開催」という声のあることは認めても、「5月中の結論に向けて検討」という思いきりの悪い姿勢は、不安に耐えて不満も我慢し、会費と寄付によるボシタ祭も諦めている市民感情を逆撫でするもので、良識ある県民にとっても「ふざけるな」の喝・・・。