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万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

社会・共産主義運動と労働運動は分離できる

2007年08月04日 20時40分19秒 | 国際経済
 マルクス主義の強い影響もあって、労働運動とは、イデオロギー闘争のからむ政治運動である、とする見方がすっかり定着してしまっているようです。このため、労働組合といった団体の運動方針には、今日でも、防衛や安全保障、さらには体制の変革さえも含む、かなり政治色の強いスローガンが掲げられていることが少なくありません。

 しかしながら、暴力革命路線が衰退し、市場経済が経済の基本的なメカニズムとなる今日にあって、伝統的な労働運動=社会・共産主義運動という等式は、もはや時代に合わなくなってきている可能性があります。労働運動とは、そもそも、自己の労働に見合った公正な賃金や労働環境の改善を求める運動でありますので、むしろ、この本来の目的に回帰する方が、労働者の利益にも適うかもしれないのです。

 政治的なスローガンを排除することによって、はじめて、労使の間に合理に徹した関係が築かられる基盤を準備できるのではないかと思うのです。

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