万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中国競争当局の独立性?

2007年08月30日 18時22分10秒 | アジア
独禁法成立、来夏施行へ 中国、企業間競争を促進(共同通信) - goo ニュース

 独禁法という法律は、独立性を保障された行政機関、あるいは、司法機関によって執行・適用されるという特色を持ちます。これは、市場の競争秩序を維持する機関は、全ての市場参加者に対して公平かつ中立的であらねばならない、という機能上の必要性に基づくものです。

 一方、中国の国家体制は、民主集中制という中央集権体制であって、改革開放路線を進めた小平でさえ、権力分立には強く反対したと言います。今回制定された法律の詳しい内容はまだ分かりませんが、もし、新たな独禁法が、公正取引委員会のような独立性を保障された機関に委ねられているとしますと、中国の統治制度は、漸く分権制を取り入れたことを意味することになります。

 果たして、中国の独禁法の運営は上手く行くのか、それとも、表面的な改革に過ぎないのか、中国市場の健全性は、独禁法とその制度運営にかかっていると言えましょう。 

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