万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

大きな利権政府よりも小さなルール志向政府

2007年08月16日 20時54分11秒 | 国際経済
 政府と市場との関わりについては、近年、グローバル経済の将来への悲観から、再びケインズ主義路線の大きな国家論が唱えられてきています。しかしながら、広い裁量権を持つ政府に経済のコントロールを任せますと、やがては財政支出の拡大にともなう利権国家化が進み、財政を傷め、さらには市場の自律的成長力をも摘んでしまうこともまた予測されるところです。

 そこで、ケインズ主義にもはや戻れないとするならば、政府と市場とは、新たな関係を構築してゆかなくてはならないことになります。そうして、この政府の新たな役割こそ、政府自身が市場のプレーヤーの一人になるのではなく、中立・公平なレフェリーに徹することではないか、と考えられるのです。レフェリーの役割とは、市場においてプレーヤーにルールを守らせ、違反行為がある場合にはそれを断固として排除することです。

 市場には、競争がつきものですから、自由で公正な競争秩序を築き、それを守ることこそ、市場経済における政府に最もふさわしい役割と言えるのではないでしょうか。

 

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