万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

チベットを犠牲にしたフランス

2009年04月02日 15時30分55秒 | 国際政治
中仏首脳、会談へ チベット独立 不支持で合意(産経新聞) - goo ニュース
 金融危機の発生で、どの国も経済的に疲弊していることにおいては立場は同じはずです。にもかかわらず、チベットの独立不支持を表明することで、中国との関係改善を図るとなると、これは、他国を犠牲にした行為となるように思うのです。

 国際法に照らしても、チベットには、十分に独立を主張する権利があります。ダライ・ラマ14世は、自治権の拡大を求めるとしていますが、チベットに、本源的な独立の権利があることには変わりはないのです。如何なる国際法学者も『17条協定』をもって、中国によるチベット侵略と併合を正当化することはできないことでしょう。これ程までに、中国のチベット支配が侵略行為であることは明確なのですから、フランスのチベットの独立を支持しない、という意思表示は、延いては国際社会における法秩序の否定ともなりかねないのです。

 もし、サルコジ大統領に言い訳の道が残されているとしましたら、それは、この共同声明が公表された日が、エイプリル・フールであったということだけかもしれません。

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コメント (10)
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