万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

戦争より手強い国内犯罪組織との戦い

2009年04月18日 13時49分24秒 | 国際政治
米「麻薬戦争」に支援 メキシコへの武器密輸阻止(産経新聞) - goo ニュース
 武装した麻薬密売組織と闘ってきたメキシコでは、去年一年だけで、軍と警察を合わせた犠牲者が6300人にも上ったと報告されています。言わば、犯罪組織との戦いが”内乱”の如き事態に発展したのですが、メキシコのみならず、どの国にとりましても手強い相手とは、国内の犯罪組織なのではないかと思うのです。

(1)戦争の場合には、敵味方がはっきりと見えますし、国内が一団となって相手国に立ち向かうことができます。しかしながら、内部の”敵”となりますと、あるいは味方側にも”敵”である犯罪組織の手先が紛れ込んでいるかもしれず、周囲や背後からの攻撃にも警戒しなければならなくなります。

(2)相手が犯罪組織となりますと、戦争法などのルールもないわけですから、軍や警察は、残虐で卑怯な攻撃を受けることを覚悟しなければなりません。テロやゲリラと同様に、犯罪組織は手段を選ばないからです。

(3)国内の犯罪組織を放置しますと、国内の治安は時間の経過とともに悪化します。麻薬の蔓延は国民から健全な思考や判断力を奪いますし、モラルも著しく低下させるからです。つまり、このことは、軍や警察は、時間とも闘わなくてはならないことを意味しています。

 犯罪組織を撲滅するためには、武力による制圧のみならず、政府が汚染されていないか制度や人事をチェックし、もし、問題があればそれを排除する必要があります。また、初等教育の段階から、将来において犯罪組織に加担しないように、健全な社会のあり方やモラルを教える必要もありましょう。メキシコがアメリカとの協力によって犯罪組織の制圧に成功すれば、それは、同様の問題に悩まされている諸国にとっても、大いに励みになると思うのです。 

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コメント (6)
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