万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

条約法条約はチベットを救う

2009年04月23日 17時29分29秒 | アジア
「中国は子どものよう」 ダライ・ラマ、成田で会見(産経新聞) - goo ニュース
中国政府によるチベット併合は、人民解放軍の進駐という武力による威嚇を背景としつつも、「17条協定」という条約に法的な基礎を置いています。もしかしますと、この条約による併合という形態であればこそ、チベットには、法的に独立する道が開かれていると思われるのです。何故ならば、中国は、条約法条約の締約国であるからです。

(1)「17条協定」の無効
 条約法条約の規定によれば、国の代表に対する強制や武力による威嚇や武力の行使による条約締結は無効とされています(条約法条約第51・52条)。ダライ・ラマ14世は、かつて「17条協定」を否定しており、チベットは、この条文に基づいて協定の無効を主張することができます。

(2)「17条協定」違反による条約の終了又は運用停止
 当事国の一方の条約違反は、他方が条約を終了、あるいは、運用停止する正当な理由となります。「17条協定」第4条には、「中央当局はチベットに現存する政治制度を変更しない。中央当局は、ダライ・ラマの既存の地位、役割、権限も変更しない。・・・」とあり、現在の中国政府のチベット政策は、この条文に違反しております。 

 中国は、条約法条約の締約国としての義務がありますので(大人の国としての義務・・・)、チベット亡命政府との対話に応じるべきと言えましょう。より弾圧を強めることになれば、対話路線は危うくなると思うのです。

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