万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

北朝鮮―核とミサイルはトレード・オフ?

2009年04月14日 14時23分49秒 | 国際政治
北朝鮮、「6者脱退」と表明 安保理議長声明に反発(朝日新聞) - goo ニュース
 もし、北朝鮮の言い分を文字通りに受け取るとしますと、”人工衛星”という名の大陸弾道弾ミサイル技術の開発が許されれば核開発は放棄する、と言うことになります。しかしながら、北朝鮮が、本心からこのトレード・オフを認めているとは思えないのです。

 何故ならば、小型化された核兵器と大陸弾道弾ミサイルの両者が揃ってこそ、アメリカを脅かし、自らが優位な立場に立って米朝交渉を行うとする北朝鮮の目的が達成されるからです。核とミサイルの片方が欠けても目的は実現しませんので、北朝鮮は、たとえ安保理での議長声明が採択されなかったとしても、結局、両者の開発はやめなかったことでしょう。何れにしても、結果は同じなのです。

 北朝鮮の六カ国協議の脱退宣言は、話し合い路線が北朝鮮に悪用され、時間稼ぎに利用されるリスクがなくなっただけ、むしろ見通しはよくなったのかもしれません。そうして、国際社会は、NPT体制の行方を含めて、核問題と安全保障の問題を根本的に議論する時期に来ていると思うのです。

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