万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

IT情報強制開示―技術競争力を無意味にする中国

2009年04月27日 16時48分42秒 | アジア
中国が「IT情報強制開示」日本に通告 影響1兆円…WTO提訴も(産経新聞) - goo ニュース
 どの企業も、市場経済にあっては、研究・技術開発に莫大な投資と労力を注ぎ、技術競争力を維持するために、最大の努力を払うものです。しかしながら、もし、中国が、「IT情報強制開示」を強行するとしますと、市場における競争のメカニズムは、早晩働かなくなると思われるのです。

 何故ならば、企業の競争力の源泉となるべき先端の技術情報が、製造拠点としての最も優位な立場にある国に渡るとすれば、最も安い価格で当技術を用いた製品が大量生産され、世界市場を席捲してしまう可能性があるからです。安全性の審査が企業に対してコア技術の開示が強制する合理的な理由となるとは到底考えられず、企業は、多額の資金をつぎ込んでまで研究・技術開発を行うことに意味を見いだせなくなりましょう。中国政府による技術の開示の強要は、産業スパイの合法化のようなものです。

 結局、技術力で勝負をしている国の企業は、致命的な打撃を受けることが予想されますので、やむを得ず、中国市場への製品輸出を諦めることになりましょう。日米欧の反発が予測されながら、中国が、何故、国際的な貿易のルールを無視して一方的な”ルール”を押し付けようとしているのか、不思議なところです。一説によりますと、軍事技術への転用を狙う軍部の圧力の可能性もあるとのことですが、これでは、市場のメカニズムが壊されてしまいそうです。WTOに加盟した限り、中国は、国際ルールを順守し、無理難題を他国に押し付けてはならないと思うのです。

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