万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エコポイント―負担転嫁型の政策は考えもの

2009年05月15日 12時48分10秒 | 日本政治
エコポイント制度がスタート 量販店、初日から火花(共同通信) - goo ニュース
 環境にやさしくエネルギー効率も高い製品が消費の牽引役となって景気回復に導く、というシナリオは、必ずしも間違っているわけではありません。しかしながら、政府が介入することで、他の納税者の負担を増やす結果を招くならば、それは考えものではないかと思うのです。

 「高速道路一律1000円」政策にも同様の問題点を指摘できるのですが、一旦、政府が補助金の支給を伴うサービス事業を実施しますと、その真の負担者が見えなくなるという問題があります。エコポイント制度を見ましても、対象製品の購入者、量販店、メーカーにとっては喜ばしいお話ではありながら、購入者が増えれば増えるほど国庫負担が増加し、それは、国民負担として跳ね返ってきます。しかも、エコポイントで交換できる商品も限定されている上に、行政サイドの権限も拡大しますので、環境省の省益拡大と疑われても仕方がない一面もあります。

 ”エコ”と言えば、何でも正当化される傾向にありますが、公共事業型とは異なる新たな利益誘導型のスタイルを生み出すとしますと、これもまた、問題のように思うのです。政府が旗振り役とならなくとも、消費者は、画期的なエコ製品が販売されれば、自然により望ましい製品に買い替えるのではないでしょうか。

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