万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

郵便不正事件―国家の信頼性を悪用する国会議員

2009年05月31日 15時20分45秒 | 日本政治
「国会議員に頼まれた」厚労省元部長が供述…郵便不正(読売新聞) - goo ニュース
 報道によりますと、郵便不正事件で捕まった厚生労働省の係長の元上司が、証明書の偽造の理由について、国会議員からの依頼があったからと供述しているようです。もし、この供述が事実としますと、日本国の政治と行政の組織は相当に腐敗していることになります。

 この事件から明らかになることは、(1)国会議員は、不正行為であっても、それを省庁に依頼することができる、(2)省庁は、組織として、議員の不正な要求や依頼に応じている、(3)不正であることを認識していながら、省庁は、公文書を偽造するという刑法上の罪を犯している・・・などです。これらの行為は、国家権力の悪用そのものであり、ある意味で、私的な犯罪組織よりもなお悪質であるかも知れません。何故ならば、国家の信頼性を私的な利益のために悪用しているからです。もしかしますと、国会議員の中には、権力とは、法から逃れて自分勝手するためのものと勘違いしている人がいるのかもしれません。

 国民が国会議員に期待していることは、不正を蔓延らせることではなく、その逆に、社会悪を糺し、公正で安全な社会を実現することです。これでは、犯罪者に国家権力を預けているようで、心配でなりません。
  
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