万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

危ない独裁者にも”友愛”を?

2009年05月17日 15時31分42秒 | 日本政治
「友愛」の人、鳩山新代表 宇宙人の異名、タフさ強調(朝日新聞) - goo ニュース
 昨日、民主党の鳩山氏は、全てを包み込むような”友愛”の政治を理想に掲げて、民主党の代表に就任しました。この友愛が外交政策として現れると、”全方位外交”ということになるのでしょうが、果たして、国際社会を恫喝したり、国民を弾圧したり、法秩序を乱すような諸国に対しても、氏は、”友愛”をもって暖かく迎え入れるのでしょうか。

 鳩山氏の唱える”友愛”とは、フランス革命のスローガンであった”自由、平等、博愛”のうち、日本語では”博愛”と訳されながら、実際には”兄弟愛”や”同士愛”を意味する”フラタニティー(fraternity)”を意味するものと考えられます。つまり、”友愛”とは、絶対王制に対抗するための闘争的なスローガンとして用いられた歴史があるのです。もし、この”友愛”を、絶対王制と同質性を持つ独裁国家に適用するとなりますと、これは、大きな自己矛盾となりましょう。何故ならば、闘うべき相手と、”愛”をもって手を結ぶことになるのですから。

 ”友愛”は、普遍的な”愛”ではなく、組織の絆としての”愛”に過ぎないという字義上の疑問点もありますが、もし、絶対王制さながらの独裁者や弾圧国家をも抱擁するとしますと、むしろ、理想から遠のいてしまうのではないか、と思うのです。

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