万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

全国人民代表大会化する日本の国会?

2009年09月21日 14時27分04秒 | 日本政治
世界で一番ハチャメチャな国会はどこ?(ニューズウィーク日本版) - goo ニュース
 国会が議員同士の乱闘の場となり、その光景が世界中に報道されることは誉められたものではありません。しかしながら、その一方で、法案に対する議論らしい議論もなく、無表情の代表者たちが賛意を表明するだけで大会が終了する中国の人代表者大会も、不気味な光景の一つです。

 全国人民代表大会が常に無風なのは、一党独裁と民主集中性の下で、予め全ての事案が党レベルで決定されることにあります。ところが、民主党政権発足後の動きを見ていますと、日本国の国会もまた、社会・共産主義国の仕組みに似てきたように思うのです。その兆候のひとつが、民主党議員に出されたという”議員立法の禁止令”です。今後は、政府しか法案を提出する権利を認めないというのです。国会法には、議員立法の手続きが明記してあり、この権利を停止するとなりますと、政党が、法律で認められた国民の代表である議員の権限を制限するという、法律違反の行為となりましょう。また、議員の政策立案の意欲が削がれ、政治が活力を失うことも確かです。

 この禁止令から見えてくる民主党が描く政治制度では、議会は多様な意見や利益を調整する議論の場ではなく、承認機関か、追認機関に格下げされてしまいます。この役割ならば、中国の全人大のように、数日の開催期間で済んでしまいます。中国では、全国人民代表大会は、憲法で最高の国家権力機関とされ、日本国でも国権の最高機関とされながら、両者ともその役割が軽いとなりますと、ますます似通ってくることを恐ろしく思うのです。

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コメント (2)
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